分岐点〜EP2〜     BY明日狩り

 ヨーダは静かに目を閉じた。
 最期の時が、すぐそこまで迫っているのが解る。力が体中から抜けてゆき、フォースに重なろうとしている。老衰は、誰にも止められない。数多のジェダイナイト、ジェダイマスターに見守られて、ヨーダは今まさにその長い人生の最後の一息を呼吸しようとしていた。

 生まれてから実に900年、さまざまなことがあった。数え切れぬ苦難と危機が彼を襲った。しかし彼はそのたびに、ない知恵を絞り、博打のような勝負にも出て、それらを切り抜けてきた。そう、ジェダイナイトの滅亡と銀河共和国崩壊の危機さえ彼は乗り切ってきたのだ。
 900年の時は長かったが、それが果たして彼に相応しい長さであったか、満足のいく足跡を残すに十分な猶予であったか、はなはだ疑問だった。

 この瞬間にヨーダが感じていたもの、それは罪悪感だった。

  「最期まで忘れ得ぬか」
 
 ヨーダは黄昏に融け込もうとしている意識の中で、自嘲した。いや、自嘲に酷似した、それは浅はかな安堵だった。
 暖かいフォースの輝きを暗闇の彼方に感じて、ヨーダはそこに彼らがいることを思った。果たして自分はどんな顔を、彼らに見せるつもりなのか。

 まだその心構えができていない。
 この生命の瀬戸際にそのことだけを思い、ヨーダは旅立ちをためらっている。

 数十年という短い人生をあっけなく閉じて、先に逝った者たち。
 ヨーダは今でも彼らの最期の顔を思い出すことができる。

 オビ=ワン・ケノービ。
 そして、アナキン・スカイウォーカー

  「わしは奴らにどう言えばいいものか」

 彼らが短い命を散らせてからまさに今の瞬間まで、ヨーダは彼ら2人のことを一瞬たりとて忘れることはなかった。そして同時に、彼ら2人のことを決して思い出すことはなかった。
 頭にこびりついて離れないあの瞬間の己の罪悪のみを見据えて。
 ヨーダは今日までをがむしゃらに生き急いできた。



                  * * *



「だが、まだ学ぶことは多いぞ、ドゥークー伯爵」
「どうやらフォースで勝敗をつけるのは難しそうだ」
 ジオノーシスの格納庫では、すでにオビ=ワンとアナキンが傷を負わされて倒れていた。遠目に見ただけでも、アナキンが片手を失っていることが判る。ヨーダは若者のことを思いやって眉をひそめた。

 ドゥークー伯爵が赤く禍々しい光を放つライトセーバーを抜き、激しい突きを繰り出してきた。ヨーダも構えたライトセーバーで応戦する。素早く動き回って相手を翻弄しながら、ヨーダは常に冷静なフォースでこの格納庫のすべてを把握していた。
 何十合斬り結んだだろう。ドゥークーに疲れの色が見え始めた。互いに力を込めた一撃が激突し、光刃にフォースを注ぎ込む鍔迫り合いになる。ぐっ、とドゥークーが1歩後退した。ヨーダはかつてのパダワンをまっすぐ見据えて、更なる力を加える。
 勝負はついた。そう思われた。

 突然、ドゥークーは格納庫に設置された大型クレーンをフォースでもぎ取り、重力に任せてオビ=ワンとアナキンの上に落とした。
「アナキン!」
 オビ=ワンは叫び、手をかざしてクレーンを避けようとした。が、傷つき倒れた体には巨大なクレーンをどかすだけのフォースは残されていない。叫び声に意識を取り戻したアナキンも、上をふり仰ぐばかりでもうどうすることもできなかった。

 死が、二人に迫りつつあった。

「!!」

 言葉にならない叫びが、ヨーダの喉を裂く。
 その瞬間に、ヨーダは稲妻よりも早く、そしてどんな人生の苦悩よりも重い選択を迫られた。

 愛する同志を、そしてそれだけではない、特に目をかけてきたオビ=ワンとアナキンの師弟を。














 見殺しにするのか!?














 救うのか!?





























 ……ヨーダにとって、オビ=ワンとは少々特別な存在だった。
 その少年は素直すぎる心を持ち、パダワンになる前の訓練生の時代からジェダイ聖堂内でも特に目立っていた。目立つ、というほどの何かをしていたわけではないのだが、貪欲なほどにジェダイマスターの言いつけを聞き、教えを請う姿が、いつでもヨーダの目を引いた。

  「哀しい子じゃ」

 ヨーダはいつもそう思っていた。ジェダイ聖堂の掟を、ジェダイマスターの言葉を、かたくななまでに守り従おうとする幼子は、なにかにしがみつくように必死だった。本人はむろん、そんなこととは自覚していないのだろう。しかし素直な、素直すぎるほどの幼子は、このままでは自分というものをなくしてしまうだろう。それがジェダイの教育だといえばそうなのだが、それにしてもここまでまっすぐに、子供らしい素直さをもって受け止められると、逆に心配になってしまう。
 たいていの子は、教えられるものの中から自分らしさを見つけるものだ。誰だって教えられるままには育たない。しかしオビ=ワンは違っていた。与えられるまま、教えられるままに、自分自身を殺しながら模範的なジェダイになろうとしているように、ヨーダの目には映った。

 だからヨーダは、彼をクワイ=ガン・ジンに託そうと思った。

 クワイ=ガンは少々型破りなジェダイマスターだ。とはいえ、その行動がただ破天荒なだけではないことを、ヨーダは良く理解していた。彼は彼なりに思い悩み、他に選択肢がないと判断した上で、行動に出る。彼に与えられる任務にそういう難しい選択を迫られる場面が奇妙に多いことと、いったん己の判断を信じた後は迷わず突き進む意志の強さが、彼に「型破り」という称号を与えている。
 本当はクワイ=ガンの立場に立たされたら、誰でも彼のように行動するしかない。しかも、彼のように自信をもって対処することはできず、たいていの者は失敗するだろう。それを成功させてくるクワイ=ガンの強さを、ジェダイ評議会は認めない。少なくとも表面上は認めるわけにはいかなかった。しかしクワイ=ガンの判断力、そして決意したことを遂行する強さは、誰よりもヨーダが一番良く理解していた。

(実のところ、難しい任務にクワイ=ガンを充てているのはヨーダだった。他の者では務まらないだろうと思われる任務は彼に任せていた。クワイ=ガンを利用していると言えばそうかもしれないが、ヨーダは心密かに彼のことを誰よりも信頼していた。)

 己を貫くという意味では他のどんなジェダイマスターよりも抜きん出ているクワイ=ガンに、オビ=ワンを任せたら、とヨーダは思った。ジェダイコードを鵜呑みにすることの危険性や、自分が自分であることの大切さを、学んでくれるのではないか。規則に洗脳されたジェダイマスターは哀しい。
 前の弟子で辛い経験をし、未だ立ち直れずにいるクワイ=ガンのことを、オビ=ワンなら立ち直らせることができるのではないか、とも期待していた。オビ=ワンなら間違っても己のマスターを裏切るようなことはするまい。きっと愚直なまでに彼のマスターに師事することだろう。
 そしてクワイ=ガンにもやはり少しはジェダイの規律を守って欲しいという望みも含めて、クワイ=ガンにオビ=ワンを勧めた。

 紆余曲折の末、クワイ=ガンとオビ=ワンはヨーダの望む通りになった。
 自分が2人を引き合わせたこともあり、それ以来ヨーダは何かというとこの師弟に心を砕いてやっていた。何よりもクワイ=ガン、オビ=ワンという2人の人間がヨーダは好きだった。どちらもまっすぐで純粋、けれど全く方向性の違うこの師弟を、ヨーダは温かい目で見守ってきた。

 だからクワイ=ガンがシスの凶刃に倒れたとき、ヨーダはクワイ=ガンの遺志と、それを遵守しようとするオビ=ワンの意見を聞き、アナキンをパダワンにすることを認めた。暗雲が垂れ込め先の見えない危険な少年アナキンをオビ=ワンに任せてよいものか。ヨーダは迷ったが、オビ=ワンの狂気にも似た目を見たとき、彼の心は決まった。

 オビ=ワンはその時、まさに狂気の寸前、張りつめたガラスのかけらのような鋭く脆い瞳をヨーダに向けていた。
「アナキンを私のパダワンに。それがクワイ=ガンの遺志です」
 静かな声で説得するオビ=ワンから、ヨーダは悲痛な面もちで目をそらした。最愛の師匠を失った痛手は、今まさにこの青年を崩壊させようとしている。それを唯一支えているのがクワイ=ガンの遺志、アナキンの存在だった。
 アナキンを支えるのは自分しかないという自負、クワイ=ガンの遺志を継ぐのは自分しかいないという誇りが、この青年を死と狂気の淵の瀬戸際でかろうじて耐えさせている。不安は拭い難かったが、オビ=ワンをその危険な精神状態から救うにはアナキンを与えるよりほか道はなかった。

 強く脆い、そして若すぎるマスター・オビ=ワン。
 暗闇に未来が閉ざされた少年、アナキン。

 アナキンの師事を許可した立場と責任を感じて、ヨーダは常にこの2人から目を離さずにいた。幾多の危機が(主に意志の衝突と師弟関係崩壊の危機が)2人に迫ったが、ヨーダはそのたびに自ら口を開き、意見し、2人をまとめてきた。最下層出身のアナキンとジェダイ聖堂育ちのオビ=ワンがそれでもどうにかここまで並んで歩いてきたその陰に、ヨーダの姿は不可欠だった。


 だから、ヨーダはオビ=ワンと彼のマスター、彼のパダワンにはひときわ思い入れがある。他のジェダイ以上に自分が育ててきた、という思いがある。





























 そんなオビ=ワンとアナキンを。





























 今ここで、見殺しにするのか?





























 ドゥークーはすかさず飛び退いて、宇宙船の昇降機へと駆け出す。
 大型クレーンがオビ=ワンとアナキンに落ちていく。

 とっさにフォースでクレーンを支えようと手を伸ばしたヨーダは、その瞬間、衝撃を食らった。心が、撃ち落とされたように音を立てて弾け飛んだ。

 オビ=ワンがヨーダに視線を突き立てる。

  『ドゥークーを!!』

 彼の目は、そう叫んでいた。その強烈な意志に、ヨーダの心は一瞬にして砕かれた。





























 半ば白くなった意識の中で。

 ヨーダはフォースをドゥークー伯爵へと伸ばしていた。





























 広い格納庫の中に、轟音が響き渡る。

 宇宙船の昇降機から転がり落ちたドゥークー伯爵が、真っ赤な鮮血を体中から吹き出して床に倒れた。

 その体から、小さなディスクが転がり落ちる。ヨーダはそれを拾い上げた。

 凶悪な破壊兵器の図面。

 これでこの戦争は終わる。

 ヨーダは床に落ちている自分の杖を拾い上げ、それに体を預けた。

 深い、深い悲しみがヨーダを満たしていた。

 宙を仰ぎ、視線を下ろす。

 そこには、埃を舞い上げて床に倒されている大型クレーンが。

 パダワンの黒いブーツが覗いている。

 白い手はマスターだろうか。

 やがて静かに、その下から赤いものが流れてくる。

 2人分の。

 生命の証。

 赤い、まだ温かいであろう。

 オビ=ワンとアナキンの、血が。

 ヨーダは目を閉じて天を仰いだ。

 堪えきれない涙が一筋、老いた頬を伝う。

 船が近づいてくる気配。

 足音、悲鳴、アミダラの声だ。

 ヨーダは重い体を引きずるようにして倒れたクレーンに近づいた。

 何も、言葉は出なかった。





























                       * * *

 ジオノーシスの戦いでは多くのジェダイナイトを失ったが、クローン軍団のおかげでどうにか敵を退けることができた。
 ドゥークー伯爵と破壊兵器の図面を奪われ、共和国に離反しようとしていた者たちは散り散りになった。形勢は明らかに共和国が有利になった。ある者は共和国へ戻った。ある者は愚かな反乱を起こしたが、握りつぶされた。クローン軍団を手に入れた共和国は、その軍事力で再び宇宙を1つにまとめることができた。

 軍の指揮権は最高議長パルパティーンの手に委ねられていたが、元々ジェダイナイトを支援するための軍隊という名目だったとメイス・ウインドゥが議会で主張し、その指揮権の半分をジェダイ評議会が任されることになった。シスの陰が見え隠れする元老員に軍の全権を与えておくことは何よりも危険だ、と判断したからだった。時に不穏な動きを見せる元老員を矯正し、クローン軍はおおよそ共和国再建のために正しく使われた。

 決定的に数を減らしたジェダイナイトを支えたのは、クローン軍ばかりではない。驚いたことに共和国中から有志が集い、心に正義を持つ人々がジェダイ聖堂を建て直そうと尽力したのである。パダワン候補生の幼い子供たちを指導できる十分なマスターはいなかったが、傭兵や戦士がマスターとなって彼らに戦う術を教えた。

 不思議なことに、彼らの中にはジェダイの教えを心得る者が数多くいた。
「どういうわけでしょう、マスター・ヨーダ」
 人を守るための戦い、怒りを捨てる心構えを子供たちに教える彼らの様子を見て、メイスが不思議そうに尋ねたことがある。ヨーダは深くうなずき、こう答えた。
「ジェダイらしくあろうとする者は、聖堂の外にも数多くいたようじゃな。我々は聖堂という狭い井戸の中に住む蛙のようじゃ」

 ヨーダの言葉通りだった。
 ジェダイの正義に憧れる人々は自然とその教えを学び、伝え、独自の形で受け継いでいた。人々はジェダイ聖堂が滅亡しようとするこの時、進み出て宇宙の平和を守る強い意志を見せた。
 ミディ=クロリアン値の高い者こそいなかったが、代わりに人々は己にできうる仕事を心得ていた。戦える者、治療の術を知る者、平和とは何かを正しく諭す者、子供の心を理解し守る者、中には素晴らしい集中力でフォースを引き寄せる者さえいた。1人1人の力は弱かったが、だからこそ人々は己に与えられた唯一の才能に集中し、その才能をいくつも合わせ協力して、ジェダイ聖堂を支えた。

 そして滅びようとしていた聖堂は再び、フォースの加護を得た。ミディ=クロリアン値の低い者たちが集まって高潔なフォースを発するさまを、ヨーダはしかと見届けていた。平和のために協力し、力を尽くす。その基本的な在り方が今ここで実践されている。

「ジェダイなどと、奢った思想の権化じゃったか」
 今までいかにジェダイが閉鎖的であったかを、ヨーダは思い知り、同時に恥じた。才能ある子供を集め、教育し、彼らに宇宙の平和を守らせる。人々はジェダイの強さに敬意を表し、そしていつしかその存在に甘え始めていた。自分たちの権利を自分たちの力で守ろうとすることを忘れていた。ジェダイもまた、この仕事は自分たちにしかできないものだと自負していた。
 しかし結局、平和を守るのは宇宙に住む人々すべての使命なのだ。





 共和国は再び1つとなった。
 ジェダイ聖堂は新たなる形で復活を遂げた。
 シスの存在は未だ明らかにされることはなかったが、ヨーダにはもうあの頃のようなダークサイドの帳は見えなかった。すべては輝かしい未来へと向かって進んでいた。クワイ=ガンとオビ=ワンがシスの1人を倒し、ドゥークー伯爵も死に、彼らの頼みの綱であろう破壊兵器の図面もジェダイの手に落ちた。シスが残っていたとしてももう打つ手はないだろう。いくらシスといえども、これだけの切り札を奪われてはもう身動きが取れまい。
(そして大半のジェダイがそう考えていたとおり、シディアス卿はすべてを失っていた。手駒を取られ、また彼自身も老いていた。再び銀河帝国の夢を見るだけの時間は、彼には残されていなかった)

 ヨーダは老いた体にむち打って、共和国とジェダイ聖堂の再建に尽力した。休息も睡眠も取らず、昼夜を問わず、コルサント中を、時には銀河に自ら赴いて働いた。無我夢中に、何かを吹っ切るかのようにヨーダは動き続けた。止まればそのまま動くことができなくなるとでも言いたげに、ヨーダは周囲の心配を振り切って働きづめに働いた。
 パダワンの面倒を見て、聖堂のボランティアに声をかけ、議会で意見をし、ジェダイをまとめて、時にはジェダイの教えと知恵を人々に分け与えた。ジェダイに憧れていたという者に正式なパダワンの訓練を施してやり、たとえミディ=クロリアン値が低くとも、本人の忍耐と努力次第ではフォースと共鳴することは可能だということも証明した。ジェダイは、特別な存在ではなくなった。



                       * * *

 そして。
 今、ヨーダは死の床にある。精も根も尽き果て、もはや呼吸さえままならなくなってきた。多くのジェダイと、平和を愛する人々がヨーダの最期を看取ろうと集まっている。ヨーダは人々が寄せる尊敬のまなざしを感じたが、己を恥じ消えたくなった。
 自分はこのような最期を遂げる資格のある者ではない。尊敬を受けながら死ぬべき者ではない。ヨーダは心の中で何度もそう叫んだ。

 ジオノーシスのあの瞬間から今まで、ヨーダを動かしていたものは罪悪感だった。
 オビ=ワンとアナキンを見殺しにした罪悪感が、常に彼の脳裏に焼き付いていた。たとえそれが正しい選択だったと言われても、何が正しかったというのか。愛する者をその手で殺したも同然だった。理屈ではない、ヨーダはただただ辛かった。

  「殺したくはなかった」

  「生きていて欲しかった」

 その単純な祈りが、心をこなごなにうち砕いた。
 贖罪のために、共和国とジェダイ聖堂を導いた。けれどそんなことが何になろう。何の言い訳になろう。あのときオビ=ワンとアナキンを見捨てたことに変わりはないのに。変えられることはないのに。

 ヨーダはあの瞬間のオビ=ワンの視線を思い出していた。あの強い目は何を訴えていたのか。『ドゥークーを追ってくれ』と、そう言っていたようにあのときは思った。しかしこうして思い出すと、それが本当にオビ=ワンの意志だったのか確信が持てない。いや、オビ=ワンなら確かにそう言っただろう。自分とパダワンの命を引き替えにしてでも、共和国の平和を望んだだろう。しかしそうやって論理的に考えれば考えるほど、己を誤魔化しているような気持ちになる。罪から逃げ出したいが故の卑怯な言い訳のように思われる。果たして自分は正しいことをしたのだろうか。いや、正しいことなど、誰にわかるというのだろうか。

 ヨーダは深く、深く息を吐いた。もう、次の息を吸う力は残されていない。
 体中の力が、フォースに導かれていくのを感じる。そこに、あの2人がいるはずだった。

  「オビ=ワン」
  「アナキン」

 ヨーダは2人の名を心の中で呼んだ。








 まだ、ヨーダは2人に会う覚悟が決まらずにいた。






<<END>>



いきなり意味のわからないモノを書いてごめんなさい。もう読んでもらえるとは思っていません。カップリングでもないし、ヨーダしかいないし。思いついたネタをダイジェストにして書いた感じなので、小説ですらないのですが……。会話も心理描写も背景描写も捨てました。そんなことしてたら大長編になっちゃうので。とりあえず理屈として書きたいところは書いて、心理描写の大事なところだけクローズアップして、なんだか海のものとも山のものともつかないモノができました。とりあえず最後まで読んでくださったあなたに感謝します。駄文ですみません。ありがとう。

EP2のラストシーン、ヨーダが2人を助けてドゥークーを取り逃がす話になっていますが、忍城さんと話し合った結果「あれはヨーダの弱さだ」という結論に達しました。ジェダイはこういう時のために執着を禁じていた部分もあったんじゃないか? 常に冷静でなければジェダイは務まらないんじゃないか? オビ=ワンは「ドゥークーさえ倒せば戦争は終わる」とアナキンを説き伏せ、アナキンもまたその説得に従い愛するパドメを見捨てた。けれどヨーダは決戦の時にオビ=ワンとアナキンを見殺しにすることはできなかった。それはヨーダが情に流されたせいでしょう。ジェダイなら、心を鬼にしてドゥークーを追うべきだった。おそらくその考えはダークサイドに近いと思いますが(私はライトサイドの基本理念は「迷い」にあると思います。常に迷うことで真理に近づこうとする姿勢ですね。ダークサイドは「決断」。迷いや情を断ち切ることで強さを得ようとする割り切った姿勢です)、それでもあの瞬間、ヨーダが情を断ち切っていたらすべては変わっていたのではないかと思います。それがこの文章。私の単純な考えでは、あそこでドゥークーが倒されていれば銀河共和国は滅びなかったと思います。ヴェイダーもいなくなるしね。

ちなみにここに書いたような理由でアナキンをパダワンにすることが許されたかどうか定かではありませんが、オビ=ワンの熱心な説得とクワイ=ガンの遺言ということで説き伏せられてしまったヨーダや評議会も同じく弱さを露呈したのではないかと思います。アナキンが危険なことが判っているなら、少なくともマスターになったばかりのオビ=ワンのような若造に任せっきりにしたりしないでしょう。

蛇足ではありますが、ハッピージャンキー明日狩りの習性で一言言い訳。もちろんあの瞬間オビ=ワンは「我々を見捨ててください」と目で訴えました。2人はフォースになってからも、自己嫌悪に苛まれるヨーダを痛々しく思い、何度も語りかけていたようです。けれどその囁きを聞かないよう無意識に耳を塞いでいたのはヨーダ自身。徹底的に自分を許せないようです。正直、ジェダイにはそれくらいの強さと、悲しみを持っていてほしい。簡単に情に流されたりしないでほしい。仲間を見殺しにして、その罪悪を一生背負う。苦しいですが、それくらいの覚悟がないとジェダイマスターは名乗れないぞ。……厳しすぎますか?

ま、そんなアイディアを思いついたら矢も立てもたまらなくなり、一気に書き上げてしまいました。