私は妹を待っていた。他にももう1人呼んであるから、いずれ来るでしょう。
大切な証拠は、誰にも見つからないところへ入れておいた。

そのはずだったのに。

甘かった。油断していたとしか、言えない。所詮私は、闇というものの本質を甘く見ていた。
本当の恐ろしさを知らなかった。

笑顔で目の前に迫る闇への入り口に、私は抗うことができずに。
時計が、迫ってくる。

本当の闇に落ちる瞬間、私は思い出していた。
思い出す? ……いいえ、違う。私はそんなこと、見たこともないし、聞いたこともなかった。
それでも死の瞬間に私の脳裏を支配したイメージは。

コーヒーの闇に倒れる、あなたのことでした。




(9月25日のちひの記述)