2月のちひの日記

2月28日(月)

 また、月曜日です。
 しゅうまつって、あっというまにおわっちゃいます。

 すごく、すごく、ねむい…………。つかれた…………。ちひ〜。
2月25日(金)

 ずっとさむかったのに、今日はさむくなかったのです。それで今日は風がびゅーびゅーふいてました。
「こりゃあはるいちばん、だな」
「はるいちばん?」
「南風だ。もうすぐはるだぜ」

 もうすぐ、はる。

 ちひがここにきたのも、はるでした。もうすぐ一年、なのです。
2月24日(木)

 ねているとき、おきてる気がします。
 それで、おきてるときはずっとねむいのです。

 ちひはどこにいるの?
2月22日(火) 記録者;生倉雪夫

 私たちは、暇さえあれば同じことをしている。
 殺人、あるいは殺人未遂事件の検索。
 いろいろなキーワードの組み合わせで絞り込んでも、有力な手がかりは見つからない。

 それでも、見落としのないよう、注意深く探している。

 ちひ君の小さな足跡を。
2月21日(月) 記録者:神乃木荘龍

「ちひ君はまだ、よくないのかね」
 事務所では、その話ばかり。
 ちひは今日も眠いと言って、起きて来なかった。

 オレは仕事の合間に。
 もう一度、過去の事件記録を漁っている。

 コーヒー。暗闇。撲殺。……ちひがいつか見た、悪夢の背景。
2月20日(日)

 ねむねむだったので、こっそりセンパイのコーヒー豆をたべてみました。

「にがっ!!」
「おい、ちひ。アンタなにやってんだい? ……そいつはたべものじゃないぜ」
「はひ〜、コーヒーにがいけど、豆もにがいです」

 でも、ちょっとねむくなくなった! 今日はおきてて、センパイと本をよんでいました。ちひっ。
2月19日(土) 記録者:神乃木荘龍

「おい、ちひ………………」
「………………………………」

 安らかに眠り続けるちひを起こすことはねえと、分かっているのに。
 そっと、白い頬をつついてみる。

「………………ちひ?」
「………………………………」
 やべぇ、と思ってそっとしておくと、ちひはそのまま寝ぼけ顔で、夢の続きを見に行っちまう。

 なあ、アンタ本当にどうしたんだい?
 近頃、コーヒーを飲んでもちっとも味がわからねえぜ。
2月18日(金) 記録者:生倉雪夫

「…………ずっと寝てるんだ」
「病気ではないんだな」
「多分……苦しそうでもねえし、ただ、疲れてんのかな、って。でもちょっと起きてメシ食って、すぐ寝ちまって……あんまり寝てばっかいるからさすがに心配でな」

 神乃木の気持ちはよく分かる。私だって心配だ。
 だが、こんなとき、私たちに何ができると言うのだろうか。あの不思議でちいさな、奇跡の存在に。

「神乃木…………私たちに何ができる?」
「……………………さぁな」
「考えることくらいは、できるだろう」
「……考えてどうなるってわけでもねえだろう」
「そうかな」

 逃げているのか、分かっているのか。
 ちひ君の正体、という問題を深く追求することが、必要なのかもしれないということ。

 そして私も、おそらくは神乃木と同じように、そこから逃げたいと思っている。
2月17日(木) 記録者:生倉雪夫

「おや、ちひ君は今日もお休みかね」
「ああ……最近眠ってばっかりだぜ。手づくりチョコで疲れたのかもな」

 そう言いながら、神乃木は浮かない顔をしている。私も不機嫌なまま一日を過ごす。

 ちひ君がいないというだけで、毎日が灰色になるな。
2月16日(水) 記録者:神乃木荘龍

 ちひが、起きて来なくなった。
「おい、仕事に行く時間だぜ、コネコちゃん?」
「うにゅ〜…………眠いです……」
「何だ、昨日は早く寝ただろう。……どうしたんだい?」
「わか……わかんな…………ぐぅ……」

 おかしなコネコちゃんだ。別に病気らしくは見えねえから、今日は寝かせておくことにする。
 明日はちゃんとお仕事に行くんだぜ、ちひ。
2月15日(火)

 ちひ…………ねむ……い…………。
2月14日(月)

「センパイ! ちひのてづくりチョコ、もらってくださいっ!」
 けっこう、じょうずにできたと思う。てづくりチョコ!!

「ちひ、こりゃあ…………?」
「はい、てづくりですっ!」
「…………どうやってつくったんだい?」
「チョコを、がびょうでけずりました。てづくりです!」
「……この、ちょうこくみたいのが、てづくりか……」
「はいっ、そうです! てづくりチョコです!」

 買ってきたチョコを、がびょうできれいにけずって、どうぶつさんにしました。お店をさがしたけど、「チョコの素」とかは売ってなかったので、きっとてづくりってこういうことです。

 神乃木センパイには、ライオンさんのチョコvv
 生倉センパイには、ネズミさんのチョコv
 星影センセイには、パンダさんのチョコです!

「いやぁ、ちひ君はてさきがきようだねぇ。よくできてるよ、うん」
「生倉センパイありがとうございます! ちひ、てづくりじょうずですか?」
「うん、さいこうのてづくりチョコだ」
「わぁいvv ちひひっ!」

「…………てづくりチョコって、こういうものぢゃったかのう?」
「さぁ……。ま、かわいいからいいんじゃねえかな」
2月13日(日)

 チョコのつくりかたはわかんないし、神乃木センパイはずっといっしょにいるし、ちひはこまってしまいました。

 もー、しょうがない! これしかないのですっ!

「神乃木センパイ、ちひはおんがえしをするのです」
「…………なんだい、きゅうに」
「おんがえしなのです。だからちひがいいというまで、ぜったいにナカを見てはいけません」
「…………かまわねえが……」
「ナカを見たら、ちひはつるになってとんでっちゃうのですよ! いいですね!?」
「…………先にしょうたいバラしちゃっていいのか、つるのおんがえしって……?」

 いいのです! ちひはつるじゃなくて、チョコのおんがえしなのです!

 よーし、あしたはがんばって手づくりチョコ、あげるんだ〜〜〜! ちひい!
2月12日(土)

 あの、あの。
 いまさらぎもんなのですが…………。


 チョコって、どうやってつくるの〜????
2月11日(金)

 こっそりチョコ作りたいんですけど……。
 センパイはずっとおうちにいるからこっそりはできないです。

 びっくりさせてあげたいんだけどなぁ。どうしよう??
2月9日(水) 観察者:神乃木荘龍

 夜中に、おかしな声が聞こえた。
 先に寝ていたはずのちひが、一生懸命何か言っている。

「おい、ちひ? 大丈夫か?」
「センパイ…………センパイ…………」
「オレはここだぜ、ちひ」
「……起きて……目を覚まして………………センパ……イ……お願い……」

 そりゃあ、アンタのほうだろう…………と少しだけ呆れた。

「おい、ちひ!」
「…………ちひゃ?」
「寝ぼけすぎだぜ、コネコちゃん」
「ふにゅ………………ヘンな夢見てました」
「何だか一生懸命、オレのこと起こしてたぜ。まずはアンタのお寝坊を直してからにするんだな……クッ」
「ううん……よく覚えてないのです…………なんの夢だったのかな?」

 ちひは夢見のいいほうじゃねえな。可哀想に。
2月8日(火)

 このあいだまめまきしたばっかりなのに、もうすぐバレンタインデー!
 やることいっぱい〜!!
2月7日(月)

「ちひ、どうした?」
「………………ちひゃ?」
「さいきんアンタ、ぼーっとしてるぜ。よくねるし、おきるのもおそいし……。つかれてんのかい?」

 たしかに、ちひはさいきん、ねむってばっかりかも。
 どうしたのかなぁ……?
2月5日(土)

 神乃木センパイがリビングのソファでおひるねしてました。つかれてたのかな。めずらしいです。

 ちひはずうーっと、センパイのこと見てました。
2月3日(木)

 ちひが「まめまきとのりまきはどうすればいいんですか?」って聞いたら、星影センセイがおしごとのあと、じむしょで「せつぶん」をしてくれました。

「ほら、こうして豆をまくんぢゃよ」
「ちひ〜〜〜〜っ!」
「かけごえは、「おにはーそと」ぢゃ」
「おにわ〜〜〜〜そとっ!」

 それで、みんなでおなじほうを向いて、のりまきをたべました。すっごい、へん! だってのりまき、切らないでたべるのです。
「…………さすがのホスト系べんごしも、こうなるとかたなしだな、バかみのぎ」
「クッ……人のこと言えるのかい、ぼんくらセンパイ?」
 すぐケンカするから、ちひは神乃木センパイと生倉センパイに豆ぶつけてやりました! ちひっ!
「ケンカのおにはそとーーーーーーっ!」

 豆はまくのに、のりまきはまかないのです。でものりまきはまいてあるからもういいのかも。
2月2日(水)

「せつぶんだからな」
「せつぶん?」
「鬼をたいじするんだぜ。豆まいて」
「のりまきもまくんですか?」
「そりゃあ……のりまきだけに、まくんだろうぜ。…………ん? そういうイベントだったっけか?」

 のりまきは、のりをまきます。まめまきは、まめまくの? あれれれ? ちひ〜??
2月1日(火)

 どーして鬼がのりまき売ってるの? のりまき? 豆も?