「あれ」の話





    某月某日 某時刻
    星影法律事務所 給湯室





「はぁ、洗い切れないわよ、こんなに」

「文句言ってる暇があったら、さっさと流しちまいな、コネコちゃん」

「だからやってるじゃないですか」

「皿洗いは新人の仕事だぜ、分かってるか?」

「だってほとんど神乃木先輩のコーヒーカップじゃないですか!」

「クッ、だからこうして手伝ってやってるんじゃねえか」

「はあぁ……(ここの事務所にいたら、コーヒーカップ洗いだけで1日が終わっちゃうわ)」

「安心しな。俺だってコーヒーは1日32杯までと、限度を決めてるからな」

「……どうも(果てしなく不安になりました、先輩)」





「それにしてもよくこんなに飲めますね」

「コーヒーのことかい? 体が勝手に求めちまうんだ」

「そーゆーもんですか。中毒ですね」

「中毒……か。特異体質、ってほうが近いかな」

「(そんなコーヒー好きってあるのかしら)」

「コネコちゃんもひとつやふたつ、持ったらどうだい? 特徴的な体質って奴を、な……クッ」

「あ、それならもう持ってますから(実はこれでも霊媒師、だもんね)」




「………………っっ!!??」




「(え? え? 何で驚いてるのこの人……)」




「…………あ、ま、まぁな……」

「え、え、ええ……まぁ…………」

「……………………………………」


「(どうしよう、なんかじっと私の胸の辺り見てるみたい……)あ、あの、私の……その……知ってるんですか?」


「あ、ああ……そりゃあ見ればある程度は予想がつくからな」

「見れば……て、ま、まさかっ! 見られたことありましたっけ!?」

「いや、さすがに見たことはねえが……クッ」


「(目をそらした……どうしてこの人知ってるのかしら)あの、神乃木先輩、じゃあ何で分かるんですか?」




「……その、胸元見れば普通予想がつくんじゃねえか?」



「あ………(おっきい勾玉、付けてたんだっけ)」



「見るなと言ったって、そんなにデカイの付けてたら目がいくってもんだ」

「そうですよね。でもコレ、取るってわけにはいかないし……」

「そ、そうだろうな……分かるぜ」

「目立っちゃうかな……ちょっと困るかも……」

「いいんじゃねえか。自分自身は隠さず出す、それが俺のルールだぜ」

「そ、そうですよね。隠す必要なんかないですよね。もうどーんと出して……」





「いや! そいつは俺が許さねえっ!!」



「……っっ!?(な、なにこの迫力は……?)」



「あ、いや……人目にあえて晒すこともないんじゃねぇか?」


「あ、そ、そうですね。隠さず、出さず、ですよね」


「そうだ。そいつを忘れちゃいけねぇな」








「さて、洗いものも終わったし、仕事に戻りますねっ」

「ああ、俺もコーヒー淹れたらやらなきゃならねえ仕事が……」

「まだ飲むんですかコーヒー!?」







チヒロ「はぁ……それにしても勾玉ひとつで霊媒のことまでわかっちゃうなんて、さすがは神乃木先輩。

     星影事務所ナンバーワンの名はだてじゃないってわけね。

     私ももっと頑張らなきゃ、一人前の弁護士にはなれないわ」







カミノギ「クッ……いきなり素で返されてさすがに焦ったぜ……。

      まさかコネコちゃんがあの『巨乳』を自覚していたとはな。かわいい顔してあなどれねぇ。

      アレを武器に法廷に立たれたら……クッ、カンベンしてくれ……」





<END>





ばかな話。
実写版逆転裁判があったらぜひカミノギasゴドー検事は阿部寛にやってもらいたいですね。でもチヒロに仲間由紀恵は無理。貧乳だから。カミチヒはギャグにするとときどき山田と上田(TRICK)みたいですよね。私だけだけど。ああ、それからチヒロを小雪がやってたポスターは激しく不快です。小雪が嫌いなの。高校のとき嫌いだった奴に顔がそっくりだから(ひでぇ話だぜ)。  By明日狩り    2004/2/29