※いつものゴドナルとは違う関係の2人です。ビタミル内パラレル。
あいをとめないで |
所長机が僕の定位置。 接客ソファがあなたの定位置。 戦って、すべてを暴かれて、終わって、そして新しく始まって。 ゴドーさんの新しい人生は、ここに居場所を見つけた。 僕からいつでも見えるところに座っているゴドーさん。 じっと見つめる視線に気付いたゴドーさんは、僕を見てクッと笑った。 「どうした、まるほどう?」 優しい声に、柔らかな笑顔。 そして確実に遠くなっている、僕らの距離。 僕は確かに覚えている。 仮面の向こうからでも分かる敵意、冷たい憎悪。 僕の根っこまで暴き出そうという、あの暴力的な感情。 あの頃には考えられなかったような顔をして、ゴドーさんは笑う。 僕の芯には決して入り込まないようにする、その遠慮がちな感情。 他人行儀な笑顔を見るたびに、あなたが僕から逃げようとしているのが分かる。 「ゴドーさん、愛してますよ」 「よせやい。気持ち悪いぜ」 「本当です。だから僕を選んでください。忘れさせてあげますから」 「…………………………」 僕の言葉の続きから逃げるように、ゴドーさんはコーヒーのお代わりを淹れに席を立つ。 『千尋さんのことは、僕が忘れさせてあげますから』 僕は意地悪な笑みを顔に浮かべて、ゴドーさんを待った。 どんなに時間をかけても、コーヒー1杯淹れるのに何時間も掛けられない。 せいぜい数分後には、また僕の目の前に戻って来る羽目になる。 それがゴドーさんの新しい道だから。 僕はゴドーさんの弱いところを知っている。 それは、何もできなかった後悔。 それは、新たに守る自信のない恐怖。 だから、ゴドーさんはもう何も手に入れようとはしない。1人で、この場所で、生きていこうとしている。 ねえ、ゴドーさん。 死んだ人をいつまでも思い続けるつもりですか? 生きている人をこれから愛するつもりはないですか? 待ちきれずに、給湯室へ忍び寄る。 苦い香りの漂う給湯室で、ゴドーさんの背中にぴったりと張り付いて。 後ろから抱き付いてみた。 「ねえ、僕にもゴドーブレンド、おごってくださいよ」 ひどく驚いたあなたは振り返り、まるで子供みたいな表情をする。僕は堪え切れなくて、くすくすと笑った。 かわいい人だな。 「クッ……所長殿のアタマからコーヒーをオゴって、解雇されないんだったらいいぜ?」 「アタマじゃなくて、僕のマグカップにコーヒーオゴってくれれば、解雇なんてしませんよ」 ゴドーさんの半径1メートル。 そこから向こうへ踏み込むことが、僕の新しい道標。 「ゴドーさん」 「……………………」 給湯室の隅へ追い詰めて、それでも逃げようとするゴドーさんをじっと見つめる。 捕まえてどうこうしようってワケじゃないけど。 この1メートルの大きくて深い溝に、僕は小さくため息を吐く。 近くて遠い、1メートル。 そんな僕を見て、ゴドーさんはクッと笑った。 「コーヒー、冷めねえうちに飲みな」 僕のマグカップにゴドーさんの闇色をたっぷり注いで、差し出された。 手を伸ばして、受け取って。 1メートルの距離は簡単に繋がれる。 「ゴドーさん」 「なんだい?」 「やっぱり僕、愛してます」 「よせやい」 今日のところはこれでいいや、と思って。 僕らは給湯室から出てくる。 ゴドーさんは今、分かれ道に立っている。 ひとつは、僕の方へ。 もうひとつは、死んだ人の面影を抱えた、誰もいない道へ。 僕も今、分かれ道に立っている。 ひとつは、ゴドーさんの方へ。 もうひとつは、諦めた人の面影を抱えた、誰もいない道へ。 どうせ1人になるのなら、一緒に歩きませんか。 たとえどこかで別れることになっても、たとえあなたが歩けなくなる日が来ても。 その日までは一緒に、僕と一緒に。 同じ道を、生きていきたい。 <END> |
「愛を止めないで」 作詞 小田和正 やさしくしないで 君はあれから 新しい別れを おそれている 僕が君の心の 扉をたたいてる 君の心が そっと、そっと 揺れ始めてる 愛をとめないで そこから逃げないで 甘い夜は ひとりで居ないで…… 君の人生が ふたつに分かれてる そのひとつがまっすぐ 僕の方へ なだらかな明日への 坂道を駆け登って いきなり君を 抱きしめよう 愛をとめないで そこから逃げないで 眠れぬ夜は いらない もういらない…… 愛をとめないで そこから逃げないで 素直に涙も 流せばいいから ここへおいで くじけた夢も すべてその手に かかえたままで 僕の人生が ふたつに分かれてる そのひとつがまっすぐ…… |
| ナルゴド? 見た目とかカラダとかそういうことを考えていつもはゴドナルってことにしてますが、精神的にはどうなんだろう。最近、ゴドナルはどっちが先に告白するのか考えてます。成歩堂日記ではゴドーさんが先に堪えられなくなって関係しちゃいましたが、あの流れでなくゴドナルだとしたら、どっちが先に好きになるんだろう……。 ゴドーさんは一度大切なものを失っている上に、多分もう何年も生きられない。だから、これ以上大切なものを作る勇気があるかどうか分からない気がする。なるほどくんもちいちゃんの件や御剣の件(御剣に振られる、というのは何を書いても必ず出てくる私のデフォ設定らしい)があって愛することに臆病になってはいるけれど、多分ゴドーさんのことを好きになったらまた止まらなくなっちゃうんじゃないかなぁとか思う。そうなると、「僕がゴドーさんを救ってあげるんだ!」みたいに1人で盛り上がっちゃって、ゴドーさんを落とそうとするんだろうなぁ。やっぱり、ナルゴドになるんか。 でもナル→ゴドの流れでカップルになれたとしても、いざベッドの上ではゴド×ナルになるでしょう(笑)。なぜなら、ゴドーさんがかっこいいから(笑)。 |
| By明日狩り 2004/10/24 |