リゾットへのバースディプレゼント















「リーダー! お誕生日おめでとーう!」

 8人の祝福を受けて、リゾットは困ったような照れ笑いを浮かべた。

「ああ……ありがとう」

「ささ、まずは一献」
 プロシュートがリゾットの左側につき、さっとワインのビンを傾ける。

「うん」

「さぁさぁ景気よく行っちゃいましょう! はい、リーダーのっ! ちょっとイイトコ見てみたいっ! あ、それ一気! 一気!」
 メローネがリゾットの右側につき、一気を促す。
 リゾットは少し困惑した表情を浮かべたが、せっかく勧めてくれたのだからと一息にワインを飲み干した。

「おお〜っ、リーダー男前っ! ベリッシモ男らしい! ディ・モールト・ベネ!」
「リゾット、いくねェ〜。ハイハイ駆けつけ2杯目いってみよー!」
「ん……」

 プロシュートが調子に乗ってお代わりを注ぐ。リゾットはこれまた一気に飲み干して、ほぅとため息を吐いた。

「それでは我らがリーダーの生誕を祝いまして!」
「かんぱーい!」
「ん……」
 さらに乾杯が続き、また1杯。

「それではメンバーから1人ずつ祝い酒とまいりましょ〜!」

「リゾットおめでとーだぜ!」
「ありがとう」
 ギアッチョから1杯。

「リーダーお誕生日おめでとう!」
「うん」
 イルーゾォから1杯。

「あははっリーダー赤いカオしてる〜」
「ああ」
 メローネから1杯。

「オレからももう1杯いってくれよなぁ〜」
「いただこう」
 プロシュートから1杯。

「ハッピーバースデー、ネエロ!」
「おめでとう」
「ん……」
 ジェラートとソルベから1杯ずつ。

「リーダーおめでとう。……大丈夫?」
「大丈夫だ」
 ペッシから1杯。

「ちょ……リゾットまじ大丈夫か? まー、これで最後だからよォー」
「ん……」
 ホルマジオから1杯。


 ワインが、ビールが、ウイスキーが、リキュールが、次々と空になる。

 料理も食べきれないほど用意されていて、食欲旺盛な9人の胃袋に収まっていく。
 ピザ、パスタ、パエリア、リゾット、カルパッチョ、バーニャカウダ、アクアパッツァ、ブルスケッタ…………。






……そして1時間後。

「あはははははは!」
「オラ飲め飲めぇ! オレの酒が飲めねえってのかあ!?」
「ハッピーバースデートゥーユーディアネエロ〜トゥーユーネエロ〜」
「オレはやるぜオレはやるぜ! オレはやるぜ!」
「リーダーがそう言ったぁ? ヴァーカ! お前を助けるために脅かされてやったに決まってんだろう!?」
「もっていーけ最後に笑っちゃうのはオレらのはずー♪」

 アジトは酔っ払いの巣窟と化していた。
 完全にベロンベロンになった9人を止める者は誰もいない。

「そーいやさーあ、誕生日プレゼントって誰か用意したぁ?」
 メローネが満面の笑みを浮かべて聞いた。

「いきなり今日やるって言われたから、用意するヒマなかったよ。もー。誰だよ、前倒しにするなんて決めた奴!?」
 イルーゾォが顔をしかめて悲鳴を上げる。

「はぁい! 犯人はおニーサンでしたぁ」
 プロシュートが機嫌良く手を挙げた。
「何でだよ! 準備できなかったじゃん!」
「だってリゾットの誕生日、オレ任務だもんよ。そんなの嫌じゃん!」
「オメーのワガママかよ!」
「ワガママじゃないモン! だっておニーサン抜きでリゾットをちやほやするとかそんなのヤだモン!」
「やだもんじゃねえよ! バカシュート!」
「ヤだモン! おニーサンだってリゾットお祝いしたいモン! おニーサン抜きで誕生日会とかするのは許可しないィ!」
「オレのセリフ盗るのは許可しなーいっ!」
 言い争うイルーゾォとプロシュートを笑いながら眺めていたメローネが、何かを思いついたらしく「あっ」と声を上げた。

「プレゼントがないなら、気持ちだけでも贈ればいいじゃないか!」
「何のことだぁ?」
 不審がるギアッチョを後目に、メローネはリゾットの肩に両腕を回した。

「リーダァー。お誕生日おめでとー……」
「んん?」
「んーっ……」
 次第に接近してくるメローネの顔を凝視したまま、リゾットは体を後ろに反らせた。それでもメローネの顔はリゾットを追いかける。
 唇と唇が重なる直前、ギアッチョが跳び蹴りを食らわせた。

「何やってるぜーっ!?」
「いったああああい!」
「このハレンチマスク! リゾットに何するつもりぜ!?」
「何って、愛情のプレゼントだよぅん」
「バカーッ!」
 今度は鋭いビンタがメローネにヒットした。
「ウホッ、いいビンタ! 君は良好だギアッチョ!」
「バカだぜっ! そんなのリゾットが喜ぶと思うのかよォーっ!?」

 メローネを罵倒するギアッチョをぽかんと眺めていたリゾットは、やがてフワフワと表情を緩ませると笑顔になって言った。

「いや、オレは嬉しいかもしれないぞ」
「まじでか!?」
 驚愕するギアッチョに、リゾットはニコニコと言う。

「キスしてもらえるほど愛されているリーダーなんて、嬉しいんじゃないかな」
「何で他人ごとみたいなのぜ!?」
「いや、よく分からないが……。愛されてるのはイイコトじゃないか?」
「リゾットまで酔っぱらいなのぜー……」
 ギアッチョが肩を落とす。今日のリゾットはしこたま飲んでいて、いつもの理性やら威厳(そんなものがあるとしたらだが)がすっ飛んでしまっている。

 メローネがキャッキャ言いながら飛び上がって喜んだ。
「でしょでしょ!? ディ・モールト(・∀・)イイ! キスのプレゼント(・∀・)イイ! さあさあリーダー、遠慮なく受け取って〜」
「ん……」
 メローネが再びリゾットの肩に両腕を絡み付かせる。

「そうはいかないぜ!」
 だが今度もまた、ギアッチョが体当たりを食らわせて邪魔をする。
「何でだよ!? リーダーがご所望なんだから、ギアッチョに止める権利はないっ!」

「事情は分かったんだぜ! そうと決まったんなら、オレが一番乗りをいただくまでだぜぇー!」

 ギアッチョはそう叫ぶと、背の高いリゾットに飛びついてそのままソファに押し倒した。

「おっ?」
「リゾット、プレゼントだぜッ!」
 そう言うやいなや、ギアッチョは勢いよくリゾットにキスをする。

 全員が見守る中、想いのたけをこめたキスをプレゼントしたギアッチョは満足そうに顔を上げた。

「ぷはあっ」
「フフッ……なかなか熱いプレゼントだな、ギアッチョ」
 リゾットが頬を赤く染めて、フワフワと微笑む。

「ズルイズルイ! おニーサンを差し置いてリゾットとチューするなんてズルイ!」
 プロシュートが地団太を踏んで大袈裟に悔しがる。リゾットの首っ玉にしがみついたまま、ギアッチョは舌を出して顔をしかめて見せた。
「ベーッ! オメーなんかに渡さないぜ譲らないぜ。リゾットはオレんだぜ」
「ハンッ! バカめっ! リゾットは暗殺チームフェチなんだぞ!? 暗殺チームが性感帯だぞ!? そんなもんで足りるものかよ!」

「リゾット、足りないのぜ?」
 ギアッチョに顔を覗き込まれて、リゾットは困りながら首をかしげて笑う。
「さあ? どうかな?」
「足りるわけねーだろーがっ! オラ、次はオレだ! ガキッチョはどいてな!」
「ガキッチョじゃないぜ! どかないぜ!」
「キスすると心の中で思ったとき! スデに行動は終わってるんだぜ!」

 プロシュートはギアッチョの腕をつかんで引っ張り上げ、まるで手品のようにフワッと持ち上げてしまった。
「うほっ!?」
 気がつけばいつの間にかギアッチョは床に転がされている。

「さあリゾット、大人のキスって奴を味わわせてやんよ」
「お手柔らかに頼む」

 リゾットの顎をつかみ、プロシュートはニヤリと笑みを浮かべると唇を重ねた。

「ん………………んんんんっ!?」
「んーリゾットぉ……」
「んーっ!?」
 口を塞がれたリゾットがバタバタともがく。

 プロシュートの手がリゾットの胸元を、腰を、さわさわと撫で回している。ズボンの中に侵入しようと手を伸ばしたとき、ギアッチョが飛びついて手首に噛みついた。

「イデエッ!」
「えろいことすんなエロシュート! バカシュート!」
「くっそー、このアニキかじり虫めぇー!」
「かじり虫じゃないぜ。ギアッチョぜ」
「ウッセェ、ガキッチョ!」
「エロシュート!」

 大人げない2人が殴る蹴るのケンカを始めた隙に、メローネがそっとリゾットの袖を引く。

「リィ〜ダァ〜、オレのキスもちゃんともらってくれる?」
「喜んで受け取ろう」
「ベネ! じゃあオレの知ってる『仕方』、全部してあげるからネ!」
 メローネはリゾットに抱きつくと、唇を深く重ねて舌を差し入れた。

「んっ……」
「んん……」
 メローネの両手が軟体動物のような動きでクネクネとリゾットの顎のラインを這う。

「おーっと、そこまでだぜー。しょおーがねーなあぁ〜。オメーに任せてたらちっとも終わらねーからなぁー」
 見かねたホルマジオが、手遅れになる前にメローネをひっぺがした。
「やーん」
「はいはい、おしまいおしまい。次はオレの番だぜー」
 ホルマジオがニコッと爽やかに笑い、リゾットに顔を近づける。

「あっ」
 なぜかリゾットは目を丸くして、少し体をこわばらせた。思わぬ反応にホルマジオもつい身を引く。

「ん?」
「あ、いや、冗談とはいえ、お前とこんなことしたことがなかったもんだから……」

「……………………」
「…………………………」
「………………………………」
「……………………………………」
「……しょ、しょおーがねえーなあああぁ〜っ!」
 変な沈黙に耐えきれなくなり、ホルマジオが照れて苦笑する。
 このまま引き下がったほうがいいのかどうか、一瞬迷ったが、やっぱり1人だけしないというのもおかしいと思って顔を近づけた。

「おめでとーさんっ」
 唇を重ね、ついでに鼻先にも軽くチュッとキスを乗せて、ホルマジオは男らしく笑って見せる。
「あ、ありがとう」
 リゾットもまだ照れながら、リーダーらしい笑顔でこれに応えた。

「あの、オレもしていいのかな?」
 ペッシがおどおどしながらリゾットに近づいてくる。
「もちろん。してくれるのか?」
「リーダーが迷惑じゃねーなら!」

 体の大きいペッシは無邪気に笑って、リゾットの唇の横にチュッとキスをした。
「おっ」
「こーら、ペッシペッシペッシペッシよォ〜。オレは見てたぜ! ちゃんと唇にしないとダメじゃねーかっ!」
 プロシュートに頭をはたかれて、ペッシは困ったように眉根を寄せた。
「だだだだってアニキ〜。やっぱりオレ、恥ずかしいよぉ〜」
「これだからマンモーニは! いいかペッシよぉ、リゾットは暗殺チームフェチなんだからな。暗殺チームなら誰でもいいんだ!」
「そんなことはないが……」

 兄貴に促されて、ペッシはもう一度恥ずかしそうにリゾットに顔を近づける。
「お、おめでとうです。リーダー」
 唇を柔らかく押し当てると、ペッシはさっと逃げていってしまった。
「ふふ、まだ子供だな。かわいいな」
「だろー? ペッシはいい子なんだぜー。マンモーニだけどな」
 なぜかプロシュートが自慢げにうなずく。

「さーさー、まだまだいるよーっ!」
 いつの間にか背後に潜んでいたジェラートが後ろからリゾットに抱きつき、うなじから耳、頬を通って唇までチュッチュとキスの雨を降らす。
「うわああっ」
 これにはさすがのリゾットも思わず悲鳴を上げた。

「きゃははっ、ネエロかわいー」
「不意打ちはズルイぞジェラート」
「オレなんかに後ろを取られるのがイケナイんだよー」
「う……そうだな。これが敵だったら今頃死んでいた」
 暗い顔になるリゾットを後ろから抱きしめて、ジェラートはキャハハと高く笑った。

「大丈夫だよー。オレが敵だったら、ネエロが気づかないワケないんだからー」
「そうかな……自信がない」
「絶対に大丈夫だね。ネエロは愛情には鈍感だけど、殺意には敏感だもの」
「それもどうかと思うがな」
「いーじゃなーい。暗殺チームのリーダー、完璧だよっ☆」

 ジェラートとそんな会話を交わしていると、リゾットの前に黒い影がぬっと立ちふさがった。
「………………」
「……ああ、ソルベ」
「………グリュックヴンシュ……あー……おめでとう……」
「ダンケ、ありがとう」
「ん」
 しゃべるのが苦手なソルベは困ったような怒ったような顔でソファのリゾットを見下ろし、くわえていた煙草を外すと顔を近づけた。

「お……」
「…………………………」
 ひるむリゾットにかまわず唇を重ね、ソルベは覆い被さるように上から乗り掛かった。リゾットをソファに押し付け、体を預ける。

「そ、ソル…………」
「………………………………」
「んん…………ン………………」
 いつ終わるのかと全員が見守っているが、ソルベはそのまま微動だにしない。リゾットもどうしていいか分からず、唇と唇をくっつけたままぼんやりと成り行きを見守る。
 ソルベの指に挟んだ煙草の灰が床に落ちた。

「もー。ソルベはいっつもこうなんだからー。はい、よーし。もーいいよーソルベー」
 ジェラートに肩をぽんぽんと叩かれて、ソルベはようやくのそのそと体を持ち上げた。
「ごめんねーネエロ。ソルベはね、キスを止めるタイミングがいつも分からないみたいなんだよね」
「そ、そうなのか……?」
「……………………」
 ソルベは何を考えているか分からない虚ろな目でリゾットを凝視して、かすかにうなずいた。

「さて、これであとはイルーゾォだけだねー」
 メローネに背中を押されて、イルーゾォは体をこわばらせた。
「な! お、お、オレもやんなきゃいけないのかよぉ!」
「なんでー? イルたんはリゾットにプレゼントあげたくないのぉ?」
「あげるけど! でもそれは今度ちゃんと用意するし! こんなのプレゼントじゃねーし!」
 照れて尻込みするイルーゾォをぐいぐい押しながら、メローネはニヤニヤと笑った。
「あー、イルたん、リーダーのこと嫌いなんだぁ」
「嫌いなわけねーじゃん! こんなノリだけでキスとかされて、リーダーだって迷惑してるんだからぁ!」

「いや、オレは迷惑なんかしてないぞ」
 酔っ払って空気を読めないリゾットが、にこにこと笑う。
「うっ……、な、なんだよリーダーまで! こいつらの悪ふざけにつきあうことないんだからな!」
「イルーゾォはキスしてくれないのか?」
 残念そうなリゾットを見て、イルーゾォは顔を真っ赤にしたままひるんだ。だが、こうなったらもう逃げ場はない。

「うう〜……。り、リーダーは絶対オレなんかにキスされても嬉しくないんだから!」
「そんなことないぞ」
「うそだ! オレにキスとかされたらばい菌つくんだからな! 後でちゃんと洗ったほうがいいし!」
「そんなことないぞ」
「こんなことで喜ぶなんてリーダーのエッチ! ビッチ! ニッチ!」
「でも嬉しいんだからしょうがない」
「うわぁん、リーダーごめん。うそ。エッチもビッチもうそだよー」
「わかってるぞ」

 ニコニコして待っているリゾットの前でさんざんわめいていたイルーゾォだが、ようやく覚悟を決めて口をつぐむ。
 リゾットの肩をつかみ、少し震えながら顔を近づけて、唇の先にほんの少しかすめるようなキスをした。

「お、おしまいっ!」
「ありがとう、イルーゾォ」



「やー、盛り上がったねー」
「楽しかったなー」
 メローネとプロシュートが満足げに顔を見合わせる。
「お前らがエッチでビッチだぜ」
 ギアッチョが呆れてため息を吐いた。

「ねーねーリーダァ。誰のキスが一番良かった?」
「もちろんオレだよなー?」
 左右からメローネとプロシュートの悪ふざけ二人組に挟まれて、リゾットは苦笑する。
「みんな良かったに決まってるじゃないか」
「そーゆーおためごかしはいいから。誰が一番良かったんだよ?」
 プロシュートにすごまれても、リゾットはフワフワと苦笑するばかりだ。

「だから全員、嬉しかったぞ」
「だーかーらっ、そういうのはいいから。ちゃんとランキングして。ちゃんと評価して」
「評価できるものじゃないが……」
「前置きはいいから、さっさと順位つけろ。でないとまたキスするぞ」
 強引に顎をつかまれて、リゾットは慌ててうなずいた。

「わかったから離せ」
「で、オレは何位なんだよ?」
「お前とメローネは体に触ってズルしたから最下位だな」
 あっさりそう言い放って、リゾットはプロシュートを押しのけた。これを見てギアッチョがゲラゲラ笑う。
「ダッセー! プロシュート最下位だぜ! リゾットを満足させてやれない残念なイケメンだぜ!」
「おニーサン残念じゃないモン!」
「黙れドンケツ。へたくそ。価値なし。ダサメン。何で生きてるのぜ? 死ねばいいぜ」
「うわぁん、ギアッチョがいぢめるー」
 調子に乗ってリゾットに抱きつこうとするが、これまたあっさりと拒否された。

「お前はズルだからな。しょうがない」
「くそ。泣き落としもつうじねえか」
 プロシュートがふくれる。

「それじゃあ、誰が1位なんだ?」
 ホルマジオがニヤニヤしながら催促する。
「うーん……そうだなぁ。………………ソルベかな」
「ワオ! ソルベおめでとう! 1位だよっ☆」
 ジェラートが喜んでソルベに飛びつく。だがソルベは相変わらず無表情に煙草の煙を吐き出した。
「……………………ふぅ……」

「ソルベの長いキスは意外で良かった」
「すごーいソルベ、ソルベってキス上手だったんだねぇ」
「………………んー…………」
「ふふふ、嬉しいくせに。ちゃんと嬉しいって言いなよー。オレには分かるけど、みんなに伝わらないぞ?」
「…………悪くねぇ、な……」
 ソルベは言葉数が少ない。それだけ言うとまた煙草をくわえた。

「2位は?」
「そうだな……イルーゾォだな」
「うそだ!」
 イルーゾォが顔を真っ赤にしてすぐさま反応する。
「いや、照れてる感じがかわいらしかった」
「うそだー! 気を使ってるんだ! バカにしやがって! 同情なんかいらねーよ!」
「本当だぞ」
 照れまくるイルーゾォを眺めてリゾットはまた笑った。

「なーなー、3位は?」
 ギアッチョに袖を掴まれて、リゾットはうなずいた。
「3位はお前だな、ギアッチョ」
「やったぜ!」
 そう言われてギアッチョは元気よくリゾットに飛びつく。

「おいおいギアッチョ、そーゆーのは「気を使われてる」って言うんだぜぇ〜?」
 プロシュートがニヤニヤとイジワルな顔で言う。
「気を使ってたのぜ?」
 残念そうなギアッチョの頭を撫でて、リゾットは首を横に振った。
「いや。お前は3位だ。一番最初にしてくれたしな。気持ちがこもっていて嬉しかった」
「やったぜ!」
「えぇー、ひいきだ! リゾットえこひいきだ!」
「お前は最下位」
「やっぱりひいきだー!」

「次はオレだろ?」
 ホルマジオが顔を覗き込んで言う。
「そうだな、お前が4位。あ、でもペッシも4位くらいだな。同じ4位だ」
「あ、ありがとうリーダー」
 ペッシが素直に嬉しそうな顔をした。

「じゃあ、次はオレ?」
 ジェラートが後ろから抱きついてくる。
「ああ、お前が次くらい。ちょっと怖い思いをしたからな」
「あははっ、ネエロかわいー」

「で、オレとプロシュートが最下位と」
 メローネが笑い飛ばすが、プロシュートはまだ納得がいかないらしい。
「いやだいやだ! おニーサン1位じゃなきゃ嫌だ!」
「ワガママぜ。死ねばいいぜ。生きてる価値もないぜ」
 ギアッチョにこてんぱんに言われて、プロシュートはふてくされてソファに寝転がった。




 こうしてリゾットの騒がしくも楽しい誕生日は過ぎていったのだった。





【END】






相方のお誕生日にこんな話をして盛り上がっていた。昼間からスパークリングワインあけてチーズと生ハムと焼きたてパンで、ホールケーキ切らずにそのままフォーク突っ込んでmgmgしたりしてた。コミケも近いのに土日がそれだけで潰れた。だめじゃん。いやだめじゃないぞ! 楽しかったんだ!
そんでせっかくだからと話した内容をケータイでぷちぷち書き始めたらソルベのキスあたりで「これ以上書けません」て怒られた。ケータイのメール文字数超えるってどうなのどうなの。
あ、ギアッチョの口調が若干残念なのはBITTERMILKの仕様です。うちのギアッチョは「だぜ」が萌え語尾なのぜ。やれてるギアッチョなのぜ。性的なことにもひるまないぜ。子供っぽくてかわいいぜ。あれー、私かっこいいギアッチョが好きなのに、自分で書くとかわいくなっちゃうんだぜ。しょうがないぜ。ギアッチョかわいいぜ。でもかっこいいギアッチョきぼん。みんなかっこいいギアッチョ書こうぜ!!
あとプロシュート兄貴が残念すぎるのも仕様です。「残念なイケメン」が合言葉。おふざけが過ぎる兄貴かわいいよ兄貴。
 By明日狩り  2010/12/11