ボスリゾッ娘で「……嘘つき」から始まるBL(ボインらぶ)小説













※注意※

・リゾット女体化です。「リゾッ子」と表記しています。

・ギャグです。
・ボスリゾです。
・ボスがアホです。
・リゾッ子がアホです。
・世界観が変です。独自の設定(?)があります。


以上、OKな方のみ続きをどうぞ。






















「……嘘つき」

 リゾッ子の黒くて大きな瞳がディアボロを睨み付ける。その強い視線を受け流して、ディアボロはちらっとリゾッ子を見下ろした。

「……さあ?」

「ソルベとジェラートは返してくれるって言ったじゃないですか!」

「言ったから、返しただろうが」

 そう言いながら視線はちらちらとリゾッ子の胸元にいってしまう。


(でかいな……いつもながら)

 暗殺チームのリーダーであるリゾッ子は、女でありながら最強の暗殺者としてボスからも一目置かれる存在だ。なおかつその熟れ熟れで豊満なナイスバディと、胸元の大きく開いた服を着ていることもボスは高く評価している。

(これは一回くらい揉んでもいいか……? ボスだからな。組織で一番偉いんだし。絶だし。手下のおっぱいくらい触っても許されるだろう。一回くらいいいだろう!?)

 そんなことを考えながらさりげなく手を近づけていくと、リゾッ子が急に体を翻したのでディアボロはビクッとした。


「うおっ!?」

「だけど! ソルベとジェラートにあんなひどいことして……」

 リゾッ子の目に涙がにじむ。ディアボロは慌てて言い訳した。


「いや、それは仕方ないだろう! ソルベとジェラートは私の秘密を探ろうとしたのだ。それなりの罰を与えないことには、他の構成員に示しがつかん」

「だからってソルベを輪切りにしなくったっていいじゃないですか! あれっきりうまくくっつかなくて、ゆらゆらしててだるま落としみたいになっちゃってるんですよ?」

 涙ながらに訴えるリゾッ子に、ディアボロは笑いをこらえながら言う。


「パッショーネの忘年会で披露する芸が増えたな」

「笑い事じゃないです! ジェラートだって紐を飲み込んじゃって……」

「見たか? あれ。なかなか面白いだろう。あいつも忘年会に……」

「だから笑い事じゃないです!」

 笑いをこらえてぷるぷるしているディアボロに腹を立てて、リゾッ子は声を荒らげる。

「でもなあ」

 口に貼った「罰」という張り紙を剥がすと、口の中からぞろぞろと万国旗が出てくるというディアボロ渾身の冗談が通じなかったらしい。

(ウケると思ったんだが、ダメか)

もしウケたら忘年会で披露しようかと思っていたのだが、これはこのままお蔵入りだな、とディアボロは思った。



「いずれにせよ、奴らは『忘年会にボスが出すのはどんな一発芸か』という、組織の重要秘密を探ろうとしたのだ。厳罰は致し方ない。しばらくは輪切りと万国旗のままでいてもらうぞ」

「……いつか直してくれます?」

「時が来ればな」

 そう言うと、リゾッ子はようやくほっとした顔になった。

(……少なくとも忘年会まではあのままにしておくが)

 あのまま忘年会で芸をやらせたらそれなりには盛り上がるだろう、とディアボロは心の中でこっそり考える。



「話は終わりか?」

 自然なそぶりを装いつつじりじりと距離を縮めていくと、リゾッ子は首を横に振った。

「他にも」

「なんだ」

「ボスの娘さんの件ですよ」

「ああ、ブチャラティのとこに預けてあるが?」

 ディアボロにはトリッシュという一人娘がいる。ギャングのボスの娘、というだけで狙われる危険があるため、部下のブチャラティに預けて身辺警護をさせてある。

 リゾッ子はまた不機嫌な顔になった。


「ボスがトリッシュのスリーサイズを調べてこい、なんて変なこと言うから、おれのチームが大変な思いをしてるんですよ!?」

「なんだ、まだ調べられてないのか」

 ディアボロは呆れてため息を吐いた。

「呆れてるのはこっちです! なんで娘さんのスリーサイズなんか知りたがるんですか!」

「そりゃあ気になるだろう、父親としては」

 さも当然の権利であるかのような顔をしているディアボロを見て、リゾッ子は顔をしかめた。

「実の娘だって、もう立派なレディーです。プライバシーの侵害ですよ」

「我が子の成長を把握するのは親の務めだ。ましてや母親をなくしてからは私しかいないのだからな。……で、まだわからんのか?」

「当然、情報の開示を拒否されました」

「ならば実力行使で計ってこい。無能なやつだな」

「だからそれをやってるんですけど、護衛のブチャラティたちの反撃もすごくて……」

「なぜだ? ボスの命令なのだからお前たちの邪魔をするはずがないんだが」

 確かに娘の護衛を命じはしたが、それでボスの手先の暗殺チームを撃退する意味がわからない。

 首をかしげているディアボロにうんざりしながら、リゾッ子は事情を説明する。


「トリッシュが嫌がることは、護衛の名誉にかけてさせない……と、ブチャラティが言ってます。それでトリッシュのスリーサイズを計ろうとしたホルマジオはバーベキューに突っ込んでやけどするし、イルーゾォは風邪のウイルスもらってくるし、ペッシは川に流されて、プロシュートは無賃乗車でしょっぴかれるし……」

「無賃乗車は関係ないだろう?」

「メローネは追跡中にヘビに噛まれるし、ギアッチョは高い電柱に引っ掛かってジタバタしてるところを観光客に見られて写真を撮られたと怒ってました」

「……私のせいというか、お前たちのミスだろう」

「とにかく! ブチャラティは『トリッシュの体も心の健康も護衛する。両方やらなくちゃあならないのが幹部のつらいところだな』って言ってました」

「バカか。そんなことを言うのならあいつらを護衛から下ろすぞ」

「いえ、それはやめた方がいいと思います」

「なぜだ?」

 憤慨するディアボロに、リゾッ子は言葉を濁す。

「それは……」

(トリッシュが護衛の子のこと好きだから、なんて言えないな……)

 トリッシュは護衛の男に密かに恋心を抱いている。同じ女の目から見れば一目瞭然なのだが、ボスも護衛もまったく気づいていないらしい。これだから男は鈍感で困る、とリゾッ子はため息を吐いた。


「とにかく、トリッシュの護衛は彼らに任せた方がいいです。その上で娘さんのスリーサイズを知りたがるなんてデリカシーのない真似は止めてください」

「むう。帝王なのに諦めなければならないことばかりか? 納得いかないぞ。私を誰だと思っている?」

(ダメだこの人)

 ワガママなオッサンにほとほと手を焼いて、リゾッ子は肩を落とした。脱力したリゾッ子の胸が重力に引かれてたゆん、と揺れる。



「……まあ、いいか」

「ボス?」

「娘のスリーサイズは諦めてやってもいい。お前たちの無様な失態も忘れてやろう」

「はいっ」

 リゾッ子が嬉しそうな顔でうなずいたので、ディアボロは(今ならいけるか?)と視線を泳がせる。

「その代わり、だ」

「はい?」

「つまり、その、お前が責任を取ってだな。私にばかり諦めさせるというのはおかしな話だからな。その……なんだ」

「はい?」

 首をかしげているリゾッ子に「おっぱい揉ませろ」が言えない。

「その、失敗は失敗として、やはりチームのリーダーが責任を取るべきだと私は思うわけだ。別にそんな厳罰を与えるつもりはないが、何もないというのも示しがつかないしな。お前だけにかるーく罰を受けてもらうのがいいと思うわけだが」

「…………はい。どんな罰でも、おれ一人で済むことならなんなりと」

 リゾッ子の黒い大きな瞳が、上目遣いでじっと見上げてくる。責任感の強いその目に見つめられて、ディアボロはううむ……と言葉を呑み込んだ。どうにも、うまくいかない。

「そうだな。お前一人が責任を取ればそれでよい。チームのことは許してやろう。だが、まあ、お前はな。リーダーだからな。それなりの罰とか、なんとか……」


「……わかりました」

「おっ?」

 リゾッ子は長いまつげを伏せてうつむくと、おもむろに黒いコートを脱ぎ始めた。素肌を覆うコートをはらりと落とすと、白くしなやかな肩が露になる。大きな胸を覆う短めのビスチェは豊かな胸と柔らかそうな腹を強調して、まるで「食べてください」と言わんばかりの盛り付けだ。

「おお……」

「責任は……これで……」

 そう言って恥ずかしそうに顔を背け、リゾッ子はチェリーのような唇をきゅっと結んだ。



 そして。









「メタリカッッッ!!!」


 掛け声と共に、リゾッ子のなめらかな腹から無数のナイフが飛び出した。

 血が吹き出し、ピンクの肉まで見える。


「ぎゃあああああああーーーーッッ!?!?」


 驚いたのはディアボロだ。今まさに手を出そうとしていたその相手が、こんなスプラッタなことになろうとは。

「なっ、なっ、なっ、なんだなんだなんだこれは!?!?」

「は、腹を詰めてお詫びを……」

 リゾッ子が腹を抱えて苦しそうにうめく。

「いやいやいやいや! 誰が切腹しろと言った!? こ、こんな恐ろしい詫びはいらんわ!」

「ゆ、許していただける…の……ですか……?」

 口からも血を垂らしながら、顔面蒼白のリゾッ子は切れ切れに訴える。

「許す許す許す!! だから早く戻せ! 血を!」

「……わかりました」



 そう言うとリゾッ子はしばらくうずくまっていたが、やがて顔を上げるとボスに微笑んで見せた。

「ありがとうございます、ボス」

「あ、ああ……」

 どうやったのかはわからないが、リゾッ子の体はもう元に戻って傷ひとつない。どうやらこれがリゾッ子のスタンド能力らしいのだが、その正体はディアボロにもまだわからない。

(うかつにおっぱいなど揉んだら、私もああいう目に遭うのか? ううむ、恐ろしい娘っ子だな……)


「体は大切にしろよ。お前は組織の者なのだからな。気安く切腹されてはかなわん」

「お気遣いありがとうございます」

 ボスに優しい言葉をかけられて、リゾッ子はニッコリする。

(どうも、こいつは扱いにくいな……)


 今日もまたおっぱいが揉めなかった。けれどニコニコしているリゾッ子を見ると、(今日のところはまあ、許してやるか)などと思ってしまうボスなのでした。







【END】






ツイッターの「リプくれたら指定のカプで小説書く」企画。
普通にボスリゾだと破滅でレイプで不幸で痛くて辛くて救いがないし、そこからどう足掻いても逃げられないので、女体化して別世界で逃げるという方法。ボスという人の孤独や破滅を見ていると、「受容されない」という原体験からかなりの人間不信に陥っていると思われます。それに母親の異常な妊娠出産と、その母親を地下に埋めるという訳の分からない事件。ボスはジョルノと同じく母親に対して何らかの問題を抱えているように思います。だから暗殺チームのお母さんことリゾットが、できればガチムチのほうでなく柔らかく豊満なおっぱいでボスを安心させてあげて、深く受け入れてあげたらボスも変われるんじゃないかな……という。なんだかんだで最終的にボスを救えるのはおっぱいの力だと信じている。おっぱいは正義。
 By明日狩り  2013/04/03