成歩堂の初夢







 こんな夢を見た。


 ゴドーさんがコーヒーをおごってくれると言う。でも、僕はなんだか嫌な予感がしたので、
「いりません」
 と言った。


 ゴドーさんはクッと笑って、
「そんなこと言っちゃっていいのかい、まるほどう?」
 と言った。
 僕はそれでやっぱり嫌な予感がしたので、おごられたほうがいいかなと思う。


 でも、それもなんとなく、なんとなくだけど、やめたほうがいい気がしている。


 悩んでいると、
「悩んでる暇はねえんだぜ、まるほどう」
 と、ゴドーさんはマグカップを僕に突きつけた。


「オレがこいつを飲み干すまでに決めなきゃいけねえんだ」


 そう言って、コーヒーを飲み始めた。


 僕はあせる。
 どうしよう、どうしよう。


 そうしている間にもゴドーさんのコーヒーは減っていく。
 ゴドーさんの咽喉がごくっ、ごくっ、と鳴る。
 マグカップに口をつけた顔が少しずつ上を向いていく。


 どんどんあせる。
 早く決めなきゃ。
 どうしよう、どうしよう。


 でも、僕はあせるばっかりで、ちっとも決められなかった。