ゴドーの初夢







  こんな夢を見た。


 誰かに呼ばれている。
 辺りを見回すが、知っている顔はない。ただ行き交うのは赤の他人ばかり。


 それでもやっぱり、誰かがオレを呼んでいる。
 オレのコネコちゃんが、オレを探しているらしい。
 あせっている。懸命に、時間がないと言いたげに叫んでいる。


 オレはここにいるぜ、と答えるが、届かないらしい。
 ここにいるぜ、と大声で叫んだが、やっぱり返事はない。


 ただ、オレを呼んでさまよう声だけが遠く近く聞こえている。


 オレは人ごみを掻き分け、声の主を探した。
 早く見つけ出さなきゃいけないと思った。
 あせればあせるほど、声は遠くなっていくようで、オレはますますあせる。


 そこでオレはふと、首をひねった。


(誰が俺を呼んでるんだ?)
 
オレの大切な。
 大切なコネコちゃん。



 アンタ、誰だ?



 不意に。


「見つけた」


 オレの後ろで声がした。
 間に合った、とほっとする。





 後ろを振り返ると、そこにいたのは。