ちひの初夢







    こんな夢を見た。


 ようやく、あいつを追い詰める証拠を手に入れた。
 それもちゃんと、分からないように隠しておいたし、妹に手渡す事になっているから大丈夫。


 今度こそ、あいつを裁いてやる。


 このために弁護士になったんだから、手落ちのないようにやらなきゃいけない。
 打てる手はどれも打っておく。
 私のように苦しんでいる人たちを救うためにも、私はあいつを裁かなきゃいけない。


 大丈夫、大丈夫。
 それなのに私の胸はなぜこんなに苦しいんだろう。
 どきどきして、止まらない。緊張しすぎかしら。


 あれは、隠してある。
 もうすぐ妹に預けてしまえば、さらに安心のはず。
 妹はもうすぐ来るし、この後みんなでご飯を食べに行く約束をしている。
 あとは裁判の日を待つだけ。


 それなのに。


 私は緊張している。
 入り口の扉から、目が離せない。



 私が見ていたその瞬間。
 その扉のノブが、ゆっくりと回る。
 
そして。
 
扉が開いて。



 あいつが。