忍耐の非ススメ     BY明日狩り

 また今日もジェダイの1日が始まる。

 廊下を行く長身のパダワンは、ブレイドこそ下げているものの、肩幅も広くがっちりとした体は一人前のジェダイの風格を醸し出している。
 大柄な体にまとった長いローブの裾を優雅にさばいて、クワイ=ガンは朝の爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

「おはよう、私の可愛いパダワンよ」
「オハヨウゴザイマスマスタードゥークー」

 その横にぴったりとついて歩くのは、クワイ=ガンに負けずこれまた背の高い壮年の男。
 こちらは堂々と、というよりはいつの間にかそこにいるような、気配の知れぬ身のこなしだ。

「おやおや、表情が固いぞ? 夕べはよく眠れなかったのかな?」
「それはアナタがッ……!」

 途中まで言いかけた言葉をぐっと飲みこんで、こぶしを固く握る。

「私が、どうかしたかな?」
「いえ、なんでもありません」
 かすかに顔に赤みが注したのは、朝日が見せた錯覚だろうか。

 大きな歩幅でどんどん進んで行くクワイ=ガンの横を、何事もなかったかのような顔をしてマスター・ドゥークーがついて行く。

「何かご用ですか」
 不機嫌な様子のパダワンだが、まったく意に介しない表情のマスターは
「可愛い私のパダワンと朝食を、と思ってね」
 にっと笑って肩に手を回してくる。
 それをさっと払いのけて、クワイ=ガンは歩くスピードを緩めずにずんずんと進む。

「そうですか。では参りましょう」
 抵抗しても無駄な場合、できる限り摩擦を生じないようにするのが最良の選択である。
 クワイ=ガンはそのことを身に染みて知っていた。

「おお、そうだな。可愛いパダワン」
 ドゥークーはウキウキと「今日の朝食はなんだろうな」などと言いながら嬉しそうについて来る。

(いい加減その「可愛い」ってのは止めやがれクソジジイ)
 伸ばし始めたヒゲがまばらにあごを覆っている体格のいいパダワンは、苦笑いしながら心の中で毒づいた。

 技も力量も優秀で間もなくパダワン卒業だろう、ともっぱら噂されているクワイ=ガンだが、どんなに体が成長しようが(その身長は確実にジェダイの平均を軽く10センチは超えている)、貫禄をつけようとヒゲを伸ばそうが、マスター・ドゥークーの口から「私の可愛いパダワン」の言葉が尽きることは決してなかった。

「……だということだ。おかしいだろう、私のパダワン?」
 マスターが何か話しているが、まともに聞いてはいない。
 あからさまに無視したままマスターを放置しておいた。

「な、パダワン?」
 2度囁かれて、さすがに「そうですね」と適当な返事をする。

 そのとき。

「……ッ!?」

 非常に不快な感覚がクワイ=ガンを襲う。
 尻をまさぐる嫌らしい手つきに眉をひそめて、クワイ=ガンはマスターを冷ややかににらみつけた。

「マスター」
「うん、どうした?」

 そう言いながらドゥークーの手はもぞもぞと尻を撫でるのを止めない。
 あまつさえ反対の手が襟に忍び込もうとしている。
 胸元への侵入を拒むと、今度は遠慮なく息子を握られた。

「マスター!」
「まあまあ」
「マースーターアー?」

 あっちを拒めばこっちを触る。
 こっちを避ければあっちを撫でる。

 2人は廊下の隅で無言の戦いを繰り広げていたが、とうとうクワイ=ガンがぶち切れた。

「マスターッ!! こんなことは止めてくださいと何度も言ったはずですが!?」

 ところが予想に反して、ドゥークーは真面目な顔でクワイ=ガンをにらみつけた。
 鋭い眼光に思わずクワイ=ガンの身がすくむ。

「我が弟子ながら何をみっともない」
「マス……」
「うろたえるな。この程度で取り乱すな」

 まるで体を縫い付けるような針の視線がクワイ=ガンを射すくめる。

 そして黙って手をクワイ=ガンの体に伸ばした。

「く……」
 眉をひそめて耐えるパダワンを冷たく観察しながら、ドゥークーの両手がクワイ=ガンの体をまさぐる。

 肩から着物の中へ滑りこみ、素肌を撫で回す。

「こんなことでいちいち乱されていては、ジェダイは務まらん」

 胸をくつろげ、敏感な突起に触れる。

「お前は少し気性が激しすぎるようだ。己を律しろ」

 ズボンの上から尻の割れ目に指を食い込ませる。

「………………っ」
 黙ってマスターの行為を受け入れているパダワンの頬に赤みが注し始めた。
 わずかに呼吸が乱れてきたクワイ=ガンを楽しそうに眺めて、ドゥークーは更に敏感な所へと手を伸ばした。

「ああっ」
 思わず声を上げたクワイ=ガンの首筋に舌を這わせ、ズボンの中で彼自身を擦り上げる。

「くぅ、マスタ……ッ」
「どうだ、パダワン?」
「ふぅ……っ」

 小刻みに震えるクワイ=ガンの体は、絶頂が近いことを示していた。

 ドゥークーはにやりと笑って。



 手を離した。



「…………? マスター……」
 うっすらと目を開いて、どうしたのかとマスターの表情を窺う。

 ドゥークーはくっくっ、と喉で笑って、体を折り曲げているクワイ=ガンを楽しそうに見下ろした。

「イヤらしくて可愛らしい、私のパダワンめ。イかせてほしいのか?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」















 そして。








「死ねぇえええぇぇーーーーーーーッ!! このクソマスター-----ッッ!!」
「はっはっは、今日も朝から可愛かったぞマイヤングパダワン」

「またやってますね、あの師弟は」
「朝の風物詩みたいなものですからねぇ」
 ジェダイ聖堂の人々は今日もまた、ライトセーバーを閃かせて激しく打ち合う師弟の姿を目にするのであった。





   <<DEAD>>



ゴメンナサイモウシマセン。いやホントにこれでネタギレだから、D/Q。なにバカなことやってるんでしょうね私も。
誰よりも何よりも書きやすいんですけどね、この師弟は。誰もやってないから好き勝手できるって説もあるんですけどね。でもすごくすごく書きやすいんですよ。なんででしょうね。私クワイ受けでもイイです。別にイイですもうキワで。ていうかドゥークーってイイよね。若いクワイもイイよね。よくないか。ゴメン。


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