7月5日 午後10時05分
成歩堂のアパート










(トノサマンの着信メロディ)





(ピッ)




『成歩堂か』

「ああ、昨日はごめん。突然で」

『いや。…………昨日君が何を言いたかったのか、あれから考えてみたのだが』

「えっ……い、いや。もういいよ。ちょっと煮詰まっちゃってたっていうかさ。気にしないでよ」

『私は君と神乃木氏の間に何があったのか良く知らないが……その、なんとなく想像しかねるのだ』

「そりゃそうだよな。っていうか、想像するほどのこと、本当にないから」

『成歩堂』

「何?」

『本気……だったのだろう?』

「何が?」

『私のこと、が…………だ』

「み…………もちろん、本気だった……よ……」

『私には、君の本気、というのが、時々良く分からない気がするのだ』

「…………………………………………」

『君は小学校のときほんの半年ばかりクラスメイトだった私のために、弁護士にまでなった。それが「本気」でないわけがない。そして、君はそれがいつしか…………親友の感情を超えてしまった、と言った』

「言ったよ」

『私のために司法試験の勉強をしていたとき、君には強く思いを寄せ合った女性がいた』

「そうだね」

『今は、敵でもあった男に……好意を寄せているのか?』

「言いたいことは分かるよ。……そうだね。僕の「本気」って、なんなんだろう。いつも本気でやってるつもりなんだ。勉強だって、仕事だって。誰かに気持ちが惹かれるときも、本気のつもりなんだ」

『…………たとえば、だが』

「……………………………………」

『今、私が君に惚れたと言ったらどうする』

「ええええっっ!!!!……………………た、たとえば、ね」

『うム。成歩堂……今更気付いても遅いのだろうが……お前のことが、好きなのだ…………と』

「……………………………………」

『もう、私のことは本気ではないと言うのだろうか』

「…………相変わらず手厳しいな、御剣検事は。君に追い詰められると、本当に冷や汗が出る」

『答えたまえ』

「……ごめん、それ、ちょっと考えさせてほしい。…………考えなきゃいけないことが、分かった気がする」

『ム、そうか。………………悩むより考えたほうが、前向きだ。経験上、そう忠告させて頂く』

「ありがとう、本当に」

『では、失礼する。答えが出たら掛けてきたまえ』

「うん、それじゃ」







(ピッ)






 僕は、苦笑いをしながら、携帯電話を握りつぶしそうになっていた。

 何だか、最低だ。

 『お前のことが、好きなのだ……』

 御剣の声で、御剣の言葉で、そんなセリフを聞く日が来るとは思わなかった。
 たとえ本当じゃなくても、その声だけで、僕はどうにかなりそうだった。

 御剣は、親友だ。親友にしたんだ。それ以上じゃないって自分に言い聞かせた。
 殺していた感情が、泡のように胸にあふれる。

 僕は最低だ。












 ゴドーさんに、会いたい。






<To be continued>








あーうー……。まさかこうくるとは誰が予想したであろうか。……すみません、うちのなるほどくんには「昔、御剣に振られた」という意味のない設定がありまして……なんか引っ張ってまして……。ちっくしょうどうせナルミツ大好きだよ! ゴドナル大好きだけどカミチヒも好きだしナルミツ大好きだしシンカル大好きだよ! ノコメイも大好きさ! カプが被らないうちはまだいいんですけど、ゴドナルとナルミツみたいに被っちゃうと困るんですよね……でもま、いいか。自分の好きなものを書く、そいつが俺のルールだぜ。
なるほどくん目当てのお客様が多いようなんですが、こんななるほどくんですみません。へこみがちで気の多い奴ですが、ちゃんと毎回本気出して恋してます。温かく見守ってやってください……オネガイシマス……ぶるぶる。  By明日狩り  2004/7/5