私は死んでいるのだ、と何度も呟いた。 何度も、何度も、自分が生きていると感じたときにはいつでも。 私は死んでいる。 私は死んだのだ。 絶望したとき。 苦しいとき。 辛いとき。 のみならず。 嬉しいとき。 楽しいとき。 優しくなれるとき。 私は死んでいると。 それが私の精神安定剤。 もう私はここにはいないのだと、世界を上から見下ろしてほっとする。 動いている私の抜け殻。 それなりに任務をこなす若きジェダイナイト。 ドロイドにも似た。 まやかしの人格。 そう思うと、ほっとする。 私は死んでいるから。 ここにはいないから。 だから、笑ってもいい。 だから、幸せでもいい。 死んでいるから。 本当は、死んでいるのだから。 何度も何度も飲み下す精神安定剤。 私は死んでいる。 私は死んでいる。 私は死んでいる。 私は死んでいる。 弟子を育てて、責務を果たして、笑って、叱って、 やるべきことをやっている。 やるべきことをやっているのだから、 本当の私が死んでいることくらい、許してくれてもいいだろう。 感情が動いたときは。 高い所から見下ろして精神安定剤。 私は死んでいる。 そうして、ほっとする。 マスター。 あなたが生きていない時間を生きるのは あまりにも苦しいから。 自分が生きていると感じたときは。 遠くを見つめて精神安定剤。 私は死んでいるんだよ。 生きなくていいんだよ。 私が本当にそうしたかったようにさせてください。 マスターの後を追って、共に命果てて。 甘美な妄想。 私は死んでいる。 死んでいていいよと自分を許す。 だから私は自分を許して。 自分の中でだけ、自分を殺す。 お前は死んでいる。 ここにいるのは死にぞこねた幻なのだと。 そう思わなくては気が狂う。 心躍る瞬間は、笑みがこぼれるひとときは、熱くたぎる怒りの刹那は、 深呼吸して精神安定剤。 私は死んでいる。 誰にも言えない、私の秘密。 私は死んでいる。 |