Like a Dog     BY明日狩り

「さて」

その何でもない言葉が、僕らの合図。

僕の耳はどんなに離れていても、どんな雑踏の中でも、その一言を聞き分ける。

はっと顔を上げると、マスターの目が少しだけ怖い。

そして、その刃のような視線が快楽に変わるように、僕はしつけられている。

「おいで、オビ=ワン」

「はい、マスター」

常に主人に忠実な犬であるように、教え込まれた。

こころも、からだも、マスターに忠実に。




微笑むマスターの顔が普通のときとは違う。

僕の奥の奥までを射抜くような、重くて鋭い視線が僕をえぐる。

恥ずかしくて、嬉しくて、身体が熱くなるのを隠せない。

パブロフの犬。

「いつものようにできるな、オビ=ワン」

「はい、マスター」

椅子に深く腰をかけ、上体をわずかに反らして、右腕で頬杖をついて、僕を見下ろす。

僕は小さく身震いして、ローブの下で手を動かす。

かちゃかちゃと金属音だけが響く。

マスターからは僕が何をしているか見えない。だから、いっそう恥ずかしい。

ベルトを外して、ズボンを下ろして。

ちら、とマスターの方を見ると、僕の一挙手一投足をじっと眺めている。

恥ずかしい。

顔が熱い。

身体が熱い。

「………………」

黙ってローブの裾を握って。

静かに、ゆっくりと、持ち上げる。

膝よりも、太腿よりも上に両手を持ち上げる。

腰まで上げても、長くたるんだローブはまだ膝頭くらいまで垂れている。

マスターは何も言わない。

僕はもっと高くローブの裾を持ち上げる。

肩まで上げると、ようやくその裾が……僕の下肢を……隠さない位置まで上がる。

見なくても分かる。僕のそこはもう、興奮してとてもみっともないことになっているだろう。

「ま、マスター」

マスターがひとつ、うなずく。

「宜しい。次は?」

僕はうまくできたみたいだった。

教えてもらったことをうまくできると、すごく嬉しい。




次、はこうしなければいけない。

ローブを肩から外して、はだけた服を1枚ずつ丁寧に落としていく。

ひとつ脱ぐたびにマスターの目を見る。

目だけで、うなずく。

そのたびに心臓が跳ね上がる。

熱くて、気持ちイイ。

火照って汗ばむ身体を全部空気に晒すけれど、ちっとも冷えたりしないで。

余計に、熱くなってくる。

立っているだけで身体の中が疼いてくる。

それからマスターの顔をじっと見る。

マスターは黙って、考え事をしているみたいに、僕の身体を上から下へと眺めている。

それから左手を僕の方へ差し伸べて

「おいで」

と言う。

今日はどうするんだろう。

期待が、止まらない。




マスターの前に立つと、わずかな言葉で命令される。

「私のものを舐めながら、自分でしなさい」

「は、はい、マスタ……ぁ……」

たったこれだけの言葉がこんなにも人の心を動揺させるって、あるだろうか。

心臓が飛び出しそうなくらい早く脈打ってる。

崩れ落ちそうな膝をゆっくりと折り、マスターの足元にひざまずく。

分厚く長いローブを着込んだマスターの下に、何も着ていない僕が動物みたいにはいつくばっている。

自分の姿を想像すると、恥ずかしくて、熱くて、疼いて。

ローブの中に手を入れ、ズボンを探って、震える手でマスターのものに直接触れる。

熱くて固いものを両手で握ると、

頭の芯までどきどきする。

布にうずもれているそれを取り出して、そっとくちづけする。

舌を這わせて、下から舐め上げる。

先端の窪みに舌先を入れる。

唇で挟んで、先だけを舐める。

根元を握っている両手も上下に小さく動かしている。

熱い。

マスターは何も言わない。

僕がちゃんとできるって、分かってるから。

「ん……ますたぁ……」




充分に自分をじらした後で、左手をそっとマスターの元から離す。

マスターの目が油断なくそれを観察しているのを感じる。

左手で自分の胸の突起に触れて、指の腹でなぞる。

身体がきゅっと縮まって、舌に力が入る。

「んっ」

くりくりと、指先で、指の腹で、それから手のひら全体でこする。

肌がぞくぞくとあわ立つ。

咥えて吸う力が知らないうちに強くなっていて、そうするとマスターの手がかすかに僕の頭をたたく。

「もっと優しく」

「ん……ふぁい」

自分の身体はあくまでも熱く、マスターへのご奉仕はあくまでも優しく。

教えられたことを思い出して。

舌を柔らかく使って、ぬめぬめと舐めさする。

握る右手も力を入れ過ぎないように、緩やかに上下させる。

でも、左手は次第に強く、激しく。

固くなった突起を指先でつまんで、強くひねる。

「くぅんっ!」

危うく歯を立てそうになって、本当にどきどきする。

喉の方まで咥えこんだマスターのものはすごく大きいから、気をつけないとすぐに歯が当たっちゃう。

ちらっとマスターを見上げると、ゆったりとした笑みを顔に浮かべている。

満足してる。

僕はもっと激しく自分を追い詰めなきゃいけない。

もっとマスターに満足してもらうために。




胸の上で遊んでいた左手を、するすると下へ伸ばす。

マスターの視線を感じて、僕はますます高ぶっていく。

本当はもっとじらさなきゃいけないけど、もう我慢できなくて。

僕は僕の、もうすっかり張り詰めているそれを握る。

「んはぁっ!」

思ったより刺激が強くて。

身体が魚みたいに跳ねて、マスターのものが口から外れちゃう。

「あっ、あっ」

慌ててしゃぶりついて、舌を這わせる。

丁寧に下から上へと舐め上げて、右手で優しく握って、先端を親指でこする。

左手も同じ動きで、自分のものをこする。

マスターの手が僕の頭をなでて、彼が怒っていないことを伝える。

良かった。ほっとする。

「ン……まふたぁ……」

「うまいぞ……」

嬉しい。

舌先でくすぐるみたいに、ちろちろとしゃぶってあげる。

熱い息がたくさん漏れる。

苦しいけど、頑張らなきゃ。

でももう、堪え性のない僕の身体は限界にきてる。

身体と一緒に胸もいっぱいになってきて、僕は訳もなく目頭が熱くなる。

「まふたぁ……んはぁ」

咥え込んでいた口を抜いて、舌で愛撫を続けながら聞く。

「だ、出してイイですか?」

「我慢できないのか?」

僕は小さくうなずいた。

多分、僕が我慢できるかどうか、マスターは知っている。

「仕方ない奴だな」

目に涙を浮かべながら見上げる僕を見て、マスターは意地悪しないで許してくれた。

左手を強く握って熱いのを解放しようとする。

と、マスターの手が差し伸べられる。

「待て」

マスターが指先だけで僕を呼ぶ。

「はい」

達きそうでビクビクする身体を無理矢理立ち上がらせた。

するとマスターはその手で僕のものをつかんで、きゅっとこすり上げた。

「ああああーっ!」

自分でするのとは全然違う感覚に、腰が砕けるかと思う。

2回も前後されたらもう耐えられなくて、僕はあっという間にマスターの手の中に熱いものを出していた。

「感じたか?」

「は、はい……マスター……っ」

膝ががくがくして、僕は体を支えられずに、とうとうマスターの膝に両手をついてしまった。




でもマスターは優しく僕の肩を抱いてくれる。

「こっちへおいで」

ぎゅっと身体をつかまれて、膝の上に載せられる。

椅子に座ったマスターの膝の上に、向かい合って、またがって。

見上げるとマスターの穏やかな笑顔が降り注ぐ。

それが痺れるくらい嬉しくて。

マスターのローブにぎゅうっとしがみついた。

「いい子だ。上手にできるな」

「は、はいっ」

すごく、すごく嬉しい!

マスターが褒めてくれた。

僕は精一杯、マスターの期待に応えようとする。

夢中で左手を後ろにやり、お尻の割れ目に指をなぞらせる。

「んっ」

ためらう間もなく、指を挿れる。

もうすっかり感じちゃってるから、それでもさほどきつくない。

「んっんっ」

力を入れて中指を突き立てる。

まだあんまり濡れてないけど、それでも入らないことはないから。

マスターを退屈させたくないから。

なるべく早く。

強引にナカを掻き回すと、痛いほどの快感があった。

「うあっ」

「全部入ったか?」

「あ……まだ……です……」

マスターの手が、また膨らみ始めている僕のものを握る。

体を引き寄せて、胸に舌を這わせる。

「んああっ!」

僕も体をねじって、指を体の奥の奥までえぐり込む。

責めて、責めて、責め立てたら。

ぐちゅぐちゅとナカを掻き混ぜたら。

擦られるものに神経を集中したら。

ぬめぬめと舐めまわされる体を感じたら。

「ン……くふぅ……」

「随分早くできるようになったな。上出来だ」

マスターが褒めてくれる。

もう僕のここは、マスターを受け入れる準備ができた。

マスターを待たせないで、マスターの興奮が冷めないうちに。

早く挿れなくちゃ。





「ますた……挿れ……たい……」

「ああ、お前が良いならいいぞ」

僕は指を引き抜いて、腰の下で待っているマスターのものを握る。

外れないように、慎重に、自分の下のおくちに食べさせる。

「くぅんっ……」

先端が入り口に当たると、いつもどきどきする。

こんな大きいのが入るなんて、信じられない。

だってすごく大きいから。

それが入るなんて、どきどきする。

腰を下ろして、マスターのものを迎え入れる。

ずっ、ずっ、と少しずつ、入って、来る。

「ああっ……あああっ……」

体が引き裂かれるかと思う。

どんなに慣らしておいても、最初は必ずそんな感じになる。

痛みより、圧迫感。

強烈な質感。

それに貫かれるときの快感の波ときたら!

「ああああーーーーっ!!」

声を振り絞って、体を強張らせて、でも腰を下ろすのは絶対に止めない。

マスターが体を支えてくれる。

僕は思い切って、一気に根元まで、自分を深く刺し貫いた。

「くああああっ! あああっ!!」

「ン……」

マスターも小さくうめく。

マスターが声を出してくれると、感じてくれてるって思えるから嬉しい。

足の先まで痺れるような快感にこのままゆっくり酔っていたい。

でも自分ばっかり良くなってたら、いけない。

僕は一息つきたがる自分を許さないで、腰を上げた。

ずっ、とマスターのものが動く。

腰を何度も動かして、ナカを擦る。

ナカで、擦る。

「うああっ」

「オビ=ワン……」

「マスター、マスタぁ!」

濡れてないうちは、硬くてきつくて、引きつるみたいで。

マスターのものに串刺しにされてるみたいで、ぞくぞくする。

何度も腰を揺らして、腰を動かして、快楽を生む。

マスターが苦笑するみたいに眉をひそめる。

マスター、気持ちいい?

腰を上下させながら、マスターの肩に両手を置く。

涙で見えにくい目をじっとマスターの顔に向けて、オナカに力を入れる。

マスターの顔が歪む。

「いかがですか、マスター?」

良くない、と言われるのが怖くて最初のうちは聞けなかったけど。

最近はたまにそう聞くようになった。

良い、と言われると嬉しいから。

良くない、と言われると……感じちゃうから。

『まだまだだな』なんて冷たく言われると、胸がチクっと痛んで、でもそれ以上にオナカがずくんって熱くなる。

だからマスターに聞いちゃう。

「そうだな。上手くできている」

マスターはにやっと笑ってうなずいた。

すごく嬉しくなる。

「しかし少々、目が寂しいようだ」

僕の腰をぐっとつかんで、マスターが下から突き上げてくる。

「あああっ!」

僕は体をえびぞりにしならせて、衝撃に耐える。

マスターに預けていた両手を離すと、硬く張り詰めた自分のものを握る。

とろとろになったそこは、濡れてマスターのローブのお腹の辺りを汚していた。

ぬるぬると手で擦って、爪を立てる。

「くあぁ! ああああっ!」

今にも出そうになるのを必死でこらえて、ぐっと力を入れて握り締める。

苦しいけれど、勝手に達ってしまうところをマスターに見せるよりはマシだった。

出さないように、休まないように。

気を付けながらひっきりなしに擦り上げる。

「ふあ、ふああんっ」

そこは擦りつづけたまま、もう一方の手で自分の胸をまさぐる。

すっかり硬くなって腫れ上がる突起を乱暴にひねり上げる。

「くあっ!!」

びくびくと体が震える。

下から突き上げ、ナカをえぐるマスターの力が背骨をきしませる。

もうナカはすごく濡れてて、激しく音を立てながら快楽を貪っている。

ぐちゅ、ぐちゅ、じゅぷっ。

「マスター、マスターッ!」

「オビ=ワン……いい格好だ。ほら……」

腰をつかんでいたマスターの手が、僕の顔を撫でてくれる。

それから僕の口の中に、指が入ってくる。

中指と、人差し指。

おくちの中も掻き混ぜられる。

指を舐めて、吸って、犯される快楽に頭が痺れる。

「お前の好い所はこれで全部かな」

「ン……ふぁ……」

体中で善がって。

もう止まらない。

腰を揺らして、手を動かして、舌を這わせて。

うっすらを汗をかくマスターの顔を見つめて。

体中でマスターを感じて。

激しく、自分を追い詰めて。

「んあ……ああ……ああああっ」

「くっ……」

マスターのものがごりごりと当たってくる。

体の底から湧き上がる快楽を止めようともしないで。

僕は思いっきり。

「マスターッ! お願いッ! 達かせてェーーーっ!」

叫んだ。

「達け、オビ=ワン」

短い、マスターの囁き。

僕は体をよじって。

震えて。

足の先まで震えて。

「ああああああーーーーーーーっっ!!!」

びくびくと絶頂を貪る。

放った体液がマスターのローブにかかるのも気にしないで。

きつくナカを絞り上げて。

「オビ=ワンッ!」

マスターがオナカの中に熱いものを放つのを感じる。

頭の中が真っ白になる。

痺れて、震えて。

激しくて甘い瞬間を、永遠に感じる。














「………………ふぅ」

息を吐いて、目を開く。
自分の手に、汚い粘液がべとべと貼りついているのを見て、僕はうんざりした。

(またしちゃった……)

そのままベッドに倒れこんで、けだるい感じに身を任せる。
まだ頭の中がじんじんと痺れてる。

こんなことしちゃいけないって分かってるけど。

マスターのことを穢してるって思うけど。

「もうしないっ。これで最後!」

いっつもそう言いながら、しちゃうんだ。

だってマスターが……マスターが……。
マスターの顔を思い浮かべると、また体がずくんって熱くなる。
僕は慌ててマスターのことを頭から追い払おうとした。

どうしたらいいんだろう。

マスターに相談したら、絶対に軽蔑される。
嫌われる。
気持ち悪いって思われるかもしれない。

誰にも言えない。
だって僕はジェダイのパダワンだよ?
相手は僕のマスターで、優秀なジェダイだよ?

「はー……」

ため息ついても、救われない。

あーあ、僕はどうしたらいいんだろう……。




   <<END>>



なんか発掘してしまったので晒しUP(笑)。これ多分サイト始めた頃に書いたんだと思うんだけど、覚えがないんですよね。SSフォルダを整理していたら出てきた。うっわ〜うっわ〜恥ずかしい! 私こんなに文章かけない奴だったっけ?と自問自答してしまうほどのナニです。びっくりです。やはり新しいジャンルで書き慣れてないってのがバレバレですな。


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