| 「フォースがすべて導いてくれるだろう」 マスター・ヨーダの予言が脳裏をよぎる。 自分でも本当は分かっていたのかもしれない。 いや、分かっていたはずだった。 この出逢いは、すべて運命だったのだと。 もう弟子は取るまいと思っていた。 私には、才能を見出す力などない。 私には、誰かを育てる力などない。 そう言いながら、数多の幼い候補生たちを退けてきた。 それは私の甘えだったのだと。 お前は気付かせてくれた。 「マスター!」 素直な笑顔を私に向けるオビ=ワンは、私のすべてを変えてくれた。 私はもう一度、弟子を信じようと思った。 私はもう一度、人を信じようと思った。 そう思えるまでに私を引き上げてくれたのが、お前だった。 自分を信じることもできず。 人を信じることもせず。 独りですることなら責任は取れるからと。 誰も傍に寄せ付けなかったのは、甘えだったと。 お前は気付かせてくれた。 「愛しています」 「愛しているよ」 そう言葉を交わすようになってから。 このまま流されてはいけないと、ますます強く。 「いつまでもずっと傍にいたいです」 「そうだな、そうしよう」 「そんなに簡単にいいんですか?」 腕の中で私を見上げてくるその額にキスをして、 私のすべてをかけて微笑んでやろう。 「いいんだよ。ずっとお前を離すことはないから」 そう言いながら、私は初めて自分の人生の終わりを思った。 「今」だけを見つめてかたくなに生きてきた私が、 初めて自分の人生を終わりまで見つめて。 その上で、お前とともにそこまで歩いていこうと誓った。 「オビ=ワン、愛してるよ」 「マスター」 ありふれた日々、ありふれた月日、ありふれた人生。 その繰り返しの中に、色彩を与えてくれたのは間違いなく。 今日が過去になっていくだけのその無機質な過程が、 過去が思い出という名の輝きに変わっていくかけがえのない瞬間に。 「おいで、オビ=ワン」 「はいっ」 誰のものでもない時間を お前と共に生きよう。 |
| 「風の坂道」 作詞 小田和正 君とはじめて会った その時から 自分が 変わってゆくのが分かった 君がはじめて 涙 流した時 人を傷つける 哀しさを知った ありふれた日々が かがやいてゆく ありふれた今が 思い出に変わる 誰のものでも 誰のためでもない かけがえのないこの僕の人生 愛という言葉をはじめて 語ってから このまま流されては 生きてゆけないと誓った こうしてこの時が 続けばと願ってから 人生はやがて たしかに終わると感じた ありふれた日々が かがやいてゆく ありふれた今が 思い出に変わる 誰のものでも 誰のためでもない かけがえのないこの僕の人生 言葉の前に走り出す いつも遠くを見ている いいわけしていないか 怒りを忘れてないか 弱いから立ち向える 哀しいからやさしくなれる 時はこぼれていないか 愛は流されていないか 二人で生きる 夢破れても 二人立ち尽くしても 明日を迎える 誰のものでも 誰のためでもない かけがえのない 今 風に吹かれて かけがえのないこの僕の人生 ほんとうに大切なものに気がついて それを忘れてはいけないと 心に 決して それを忘れてはいけないと |