| 思えば、よく笑顔が残ったと思う。 自分の思い出を振り返って、そこにオビ=ワンの笑顔が、あちこちにちりばめられていることに驚く。 辛いことが数え切れないほどあった。 そのたびに傷つき、そして誰かを傷つけてきた。 そばにいてずっと私とともに過ごしてきたオビ=ワンのことを、誰よりも傷つけたのではないかと思う。 それでもオビ=ワンの笑顔は、思い出の中のあちこちに、輝かしく存在している。 どんなに悲しい日々が続いても、私とオビ=ワンは、共に在った。 忘れはしない日々、悲しい記憶は、いつでも私を苛むことができる。 けれどどんなことがあっても、オビ=ワンと出会えたあの時を、思い出したなら。 お前をパダワンにすることができた私の最高の幸せを、感謝したら。 お前となら生きていける。 お前のためなら生きていける。 生真面目なお前に、私のようなマスターでは少々可哀想だとも思ってみたりはするが。 「僕はあなたがマスターで本当によかったです」 ……一体何をどうしたらそういう言葉が出てくるのかね。 私が少々外れたマスターでも、それでもお前は、私を選ぶんだな。 時がすべてを思い出に変えて、過ぎ去っていく。 ただの過去ではない、思い出になり得るのは。 きっとお前がそこにいるからだと。 私は前よりずっと、強くなったと思う。 困難の末に見出したお前を育てるのは、実のところ少し厄介なのだが。 それでも、それだから、私はお前のために強くなったのだと思う。 もうなにも恐れなくていいから、 私に任せていなさい。 私がお前を導いてあげよう。 お前が私を導いてくれるように。 ……クワイ=ガンのベッドの中で、オビ=ワンは安らかな寝息を立てている。 腕枕をしてやりながらうとうととこんな考え事をしていたクワイ=ガンも、オビ=ワンの寝息に誘われるように、やがて静かに眠りの淵に沈んでいった。 クワイ=ガンの腕の中で小さく身じろぎしたオビ=ワンは、何の夢を見ているのだろう? 手を伸ばし、マスターのゆったりとした寝衣にしがみつく。 ぴったりと寄り添う師弟は、お互いの体温で温まりながら、蕩けるような眠りをむさぼっている……。 |
| 「緑の日々」 作詞 小田和正 確かに今 振り返れば 数え切れない 哀しい日々 でもあの時 あの夜 あの頃 ふたりはいつも そこにいた 過ぎてきた あの哀しみは いつまでも 残るけど 僕らが出会った 頃みたいに もうすこし 素直になれれば 君となら 生きてゆける 君のために 僕が生きてゆく まるで君が 望むような 僕には なれないかも知れないけど 時はゆく すべてのことを 思い出に 変えながら その時 またその場所で 僕らは 何を思うだろう 君のために 強くなる 僕には もうなんの迷いもない 何も 恐れないで 今はすべてを 僕に任せて 君のために 強くなる 僕には もうなんの迷いもない まるで君が 望むような 僕には なれないかも知れないけど 君が 安らかに眠る すべてを信じて この腕の中で 君となら 生きてゆける 君のために 僕が生きてゆく |